14時00分~15時00分は、富士塚幼稚園空手道教室の稽古でした。新規入門者が3名いました。これで会員が16名の「大所帯」となりました。

 

 19時00分~20時45分は、大和道場(下福田中学校武道場)の稽古でした。新規入門者の紹介しました。

 「基本形の日」という事で、小林志光師範を講師にして、平安四段を行いました。

 

 さて、タイトルの件ですが、最近『TRICK-トリック「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(加藤直樹著 )を図書館から借りて読みました。

 内容は、近年急速に広まっていて、小池都知事もこれに大きな影響を受けたと思われる「関東震災時に朝鮮人虐殺はなかった。反対に朝鮮人が暴動を起こそうとした。これを阻止しただけだ。」という論を当時の資料に基づき、根底から批判したものです。

内容的には、工藤美代子氏の著作『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』(産經新聞出版)を元に、彼女の提出する虐殺の証拠と言われる資料が、震災直後で、その後否定された朝鮮人の暴動に関する新聞記事だったり、資料の一部を意図的に抜いたりして、事実を真反対にしようとする悪質なトリックであり詭弁だという事を丁寧に論証しています。

 

 

 結論としては、工藤美代子、産経新聞、日本会議、自民党文教族、小池都知事及び百田尚樹氏等の「逆説否定論」単なる認識の誤りではなく、人をだます目的で仕掛けられたトリックという事です。

 

 目次は、以下の通りです。

  第1章 虐殺否定論はネット上のフェイクである(関東大震災時の朝鮮人虐殺とは、どのような事件だったのか;「朝鮮人虐殺はなかった」という「説」は存在しない ほか)

  第2章 虐殺否定論はトリックである―虐殺否定論を「発明」した工藤夫妻/“トンデモ本”ではなく“トリック本”(震災直後の流言記事を「証拠」扱い―「暴動」を否定する10月以降の記事は黙殺/虐殺研究書から流言記事を抜き出して否定論に悪用;政府隠蔽説の根拠は「お父さんの一言」―膨大な記録が残る虐殺の史実 ほか)

  第3章 虐殺否定論は社会を壊す(『日本国紀』にも登場する虐殺否定論;拡散する虐殺否定論 ほか)

  付録(工藤夫妻の示す「証拠」史料を検証する;中央防災会議災害教訓の継承に関する専門調査会災害教訓の継承に関する専門調査会報告書平成20年3月(2008年) 1923関東大震災“第2編”)

 

 小池氏が影響を受けているらしい事は、このブログでも記者会見の質疑応答でそれとなく書きました。「2024年 6月12日(水)第7629回 第7629回」です。

<以下ブログ転載開始>

(転載開始)

 【記者】では2問目です。関東大震災における朝鮮人虐殺の問題ですけれども、これ美濃部都政の時から、知事がですね、追悼文を出してきたと。小池さんの時にそれを止めたと。それでこの追悼分の中で僕、重要だと思うのはですね、この虐殺の事実を語り継ぐという部分なんですけれども、追悼文を出さないということは、小池さんは語り継ぐことの重要性、あまり感じていないということなんでしょうか。

 【知事】東京大空襲など被災された方々の重要な証言など受け継いでいる作業も今も行っております。そしてまた、震災については、今年で101年になります。今どうやってこの直下型地震を防いでいくのか、そのための防災、予防的な措置をどうするべきなのか、将来に向けてどうやって命を守っていくのか、そこに集中をしていきたいと考えております。ありがとうございました。

 【記者】虐殺についてはどうなんですか。

 【知事】様々な見方があろうかと思います。

 【記者】様々な見方ではなくて、つまり虐殺の事実についてはこれ争いがないと私は思うんですけれど。様々っていうのはちょっと誠意を感じられない気がします。

 【知事】それは取り方だと思いますけれども、毎年春の時期にですね、この東京で亡くなった様々の災害において、空襲も含めてでございますし、そういった方々の、この霊を安らかにということで、慰霊の行事を毎年重ねております。

 【記者】はい、ありがとうございます。

(転載終了)

 記者は、関東大震災の朝鮮人虐殺について、美濃部都政から続いていた追悼文を出さなくなったことを質問したのに、全く意に介さず東京大空襲や将来の震災に話しをずらしてしまいました。やはり触れられたくない問題なのでしょう。

 「虐殺はついてはどうなんですか?」とサラ問いされて、「様々に見方があろうかと」と答えていますが、質問は小池氏がどう考えているかを質問しているのです。ですので記者は「様々っていうのはちょっと誠意を感じられない気がします」と追及したのですが、これに対して「それは取り方だと思います」と全く答にもならない事を言っているのです。

 小池氏が関東大震災時の朝鮮人虐殺に追悼文を送らなくなった事や虐殺の事実さえも認めない事は、小池都知事のタカ派的、歴史修正主義的、反動的な面を余す事なく示しているのです。

<ブログ転載終了>

 

 では、どうしてその様に小池知事が追悼文を送らなくなったかについてですが、都議会における自民都議の質問だったのです。質問内容は、自警団の行動は震災に乗じて凶悪事件を起こした朝鮮人らへの自衛措置だったとし、追悼集会が行われる公園内の追悼碑の説明文にある「六千余名」という犠牲者数は過大だと批判したのです。そして、その都議の質問の根拠となっていたのが、前掲の工藤美代子氏の著作『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』(産經新聞出版)だったのです。(最後に<資料>としてこの経緯を書いたものがありますので、転載します。>

 これをきっかけに、今まで朝鮮人犠牲者の追悼式典に追悼文を送っていましたが、2017年 9月から取り止めにしています。その理由は「今年3月には関東大震災と都内の戦災遭難者慰霊大法要に出席した。その場で都知事として関東大震災で犠牲となられた全ての方々への追悼の意を表した。全ての方々への慰霊を行っているということだ。」というものです。「関東大震災と都内の戦災遭難者」に対して慰霊しているからと言って、別の案件である「朝鮮人虐殺」は追悼しないというのは、絵にかいた様な詭弁です。

 しかし、繰り返しになりますが、「朝鮮人が暴動を起こす」「井戸に毒を入れた」といった話がデマだった事は、当時の政府が認めている事なのです。詳しい調査がされなかったため正確な犠牲者の数は不明ですが、内閣府中央防災会議の報告書(2008年)は1千~数千人が殺されたと推計しています。そして、「大規模災害時に発生した最悪の事態」と位置付け、教訓とするよう訴えているのです。

 

 こういう人権感覚のなさ、虐殺を否定する勢力の票を失わない為の権力欲の塊である小池氏の三選を阻止しなければなりません。

 

<参考>

タイトル:記者会見ではしどろもどろに…関東大震災「朝鮮人虐殺」をめぐる、小池都政の“負の遺産”

配信:2024年 6月11日

配信元:プチ鹿島 

 

(転載開始)

<<小池氏は2017年3月、都議会で自民党都議が虐殺の犠牲者数について、主催団体が案内文でも触れている「6千余名」とする説を根拠が希薄などとして問題視し、追悼文送付を見直す必要性を指摘したのに対し、「毎年慣例的に送付してきた。今後については私自身がよく目を通した上で適切に判断する」と答弁して見直しを示唆した。>>(朝日新聞デジタル2017年8月24日)

 つまり、追悼文取りやめは自民党都議の質問がきっかけだった可能性が高い。東京都議会のHPで当時の記録を調べてみるとそれは2017年3月2日だった。

 

『朝鮮人犠牲者追悼碑の改善を 戦没者を追悼し靖国神社参拝を』古賀俊昭(自民党)

 自民都議・古賀俊昭氏の質問で注目したのは次の言葉だ。

<<私は、小池知事にぜひ目を通してほしい本があります。ノンフィクション作家の工藤美代子さんの『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』であります>>

 

小見出し:古賀都議の主張は

「工藤美代子」という名前が出ている。『トリック―「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(加藤直樹 著)という本では、工藤美代子・加藤康男夫妻が著した朝鮮人虐殺を否定する本を取り上げ、どのように間違っているかを検証している。仕掛けられた“トリック”の数々を明らかにしているのだ。ネット上で広まる「虐殺はなかった」論は工藤美代子氏らの言説の鵜呑みが多いのだ。古賀都議はその本を小池氏に紹介していた。

 古賀都議は質問の中で、朝鮮人追悼碑に犠牲者の数として「6,000人」という数字が刻まれていることを「事実に反する一方的な政治的主張」で「むしろ日本及び日本人に対する主権及び人権侵害が生じる可能性があり、今日的に表現すれば、ヘイトスピーチであって、到底容認できるものではありません」と述べていた。

 

小見出し:『トリック~』では

これについて、<<約6,000人という数字は、震災後に朝鮮人留学生たちが監視の目をかいくぐって現地調査した結果を、上海の独立運動機関紙がまとめ、発表した数字に基づく。近年、研究の進展によって必ずしも実態を正確に捉えた数字ではないとされるようになり、最近は「数千人」という幅のある記述がなされることが多い(略)ただし、追悼碑が建立された1973年時点では、政治的立場を問わず「6,000人」と記述するのが普通だったので、これが「政治的主張」だという古賀氏の主張は当たらない。>>

 と指摘している。さらに古賀都議は工藤美代子氏の本に依拠して、何の罪もない朝鮮人が殺されたという歴史認識自体を否定していたことにも言及している。要するに「6,000人」という人数は不確かだ、というのは質問の柱ではなかったのだ。都議会の記録を読むと追悼碑について「撤去を含む改善策を講ずるべきと考えますが、知事の所見を伺います」と「撤去」も提案して質問を終わらせていた。

 いかがだろうか。2017年3月の都議会ではこうした問答があったのだ。そもそも「朝鮮人虐殺はなかった」という学説は存在しない。しかし小池都知事は「いろんな史実として書かれているものがございます。どれがどういうのかというのは、まさしく歴史家がひも解くものではないだろうかと」と言い続けるようになる。事実とデマを並べて「いろいろな史実がある」と。

 

小見出し:都知事には説明責任がある

 繰り返すがこの経緯は、虐殺はなかったと主張するトンデモ本を自民党都議が小池氏に「紹介」し、小池氏が「私自身が適切に判断する」と答弁したことからだ。そして半年後に追悼文を取りやめた。どう考えても都知事には説明責任がある。

 ちなみに冒頭に記した(2014年)6月7日の会見で「報道特集」のキャスターが「追悼文を出さないということは、小池さんは語り継ぐことの重要性をあまり感じていないということか」と質問すると、

「東京大空襲など、被災された方々の重要な証言などを受け継いでいる作業も今も行っております」

 と小池氏は完全に話をずらした。「(朝鮮人)虐殺についてはどうなんですか」とさらに問われると、

「この東京で亡くなった様々な災害において空襲も含めてでございますし、そういった方々の霊を安らかにということで・・・え・・・この・・・慰霊の…行事を毎年重ねております」

 後半はしどろもどろ。はっきり説明できないことを7年間も続けている。小池氏も朝鮮人虐殺をなかったことにしたい人なのか? 歴史から目を背ける都知事でよいのか。もし小池氏が都知事選に出馬したら私も街頭で直接質問してみたいと思う。他の候補者にも追悼文への対応について聞いてみたい。これも都知事選の重要な論点では?

(転載終了)