さまざまな食材をバランスよく取るという考え方はいろいろなところで見かけます。

実際現在の栄養学などでもそのように書いてありますし、医食同源を唱える中国では陰陽に準え「五味五色五法」という考え方もあります。

この辺はまたそのうち詳しく書きますが、とにかくお料理全体でバランスを取りましょうという考え方はその昔から現代に至るまで脈々と続いています。

一方で「一物全体食」の考え方は全体でのバランスではなく、ひとつひとつの食材でバランスを取りましょうという考え方なのです。

「一物全体食」では食材自体ですでにバランスが取れているという考え方をします。
植物にせよ動物にせよ、生きている姿こそがバランスが最もとれている状態であるのであれば、その姿あるままにすべてを頂くことこそバランスの取れた栄養が摂取できる。という考え方です。

例えば先日講習会でとりあげた大根であれば葉も皮も身の3つでバランスができていると考えます。

つまり大根を食べるのであれば皮も葉も食べてはじめて大根というものを食べたという考え方なのです。

それなのに葉を落とし皮を剥いて食べれば本来取れるべき栄養を失い、バランスが崩れる。
だから、他の食物でバランスをとらなければならなくなるという、ある意味現代の栄養学に対するアンチテーゼでもあります。

まあ、確かに極論的ではあるものの一理ある考え方で、非常に興味深くもあります。

では次回は実際にレシピを交えながら栄養面についても考察してみたいと思います。