「全くお前というやつは…」
その言葉に、机に向かったショートカットの少女、上村雷架(ウエムラ ライカ)はうつ向いた。
「ごめん……」
「そうそう、あんなやつの小言を聞くのも嫌だしね」
雷架の正面の机に腰掛けて足を組むのは、癖のないセミロングの髪の園田水希(ソノダミキ)だ。
顔は笑ってはいるが、細められた瞳はなんとなく笑ってないように見えた。
「今度から気をつけてね」
雷架の隣に立っているロングヘアーの藤沢風美(フジサワ カザミ)が笑顔で優しくそう言った。
にこにこと穏やかな笑顔で雷架を見つめていた。
「うん」
雷架が笑って言うと、水希はやれやれとため息をついた。
「風美、ちょっと甘いんじゃない?」
「そんなことないよ~」
「だって、雷架いっつも」
「いい加減やめたらどうだ、水希」
水希の言葉を遮ったのは、寄りかかっていた壁から背中を離し、腕組みを解いた新川火冴(アラカワ ヒサエ)だった。
腰まである長い髪をポニーテールにして、無表情で水希を見つめていた。
「………」
水希は多少不満げな顔をしていたが、すぐにまっいっかと呟いた。
「そんなことより、夏休みはどうするの?」
足を組み直した水希が身を乗り出す。
「まだ早いだろう、二週間はあるぞ」
火冴が渋い顔をする。
いいじゃないの、善は急げよ」
雷架が便乗する。
「雷架、ちょっと使い方間違ってるわよ」
風美が少し困り顔でたしなめる。
「そういう問題か・・・・・・」
火冴が半ば呆れ顔で嘆息する。
「はいはい、私海行きたい!」
雷架が元気よく手をあげて宣言した。
「いいね~」
「海か、そう言えば去年行きそびれたし、いいかも」
にっこり水希は笑って机から降りた。
無言で微笑む火冴。異議は無いようだ。
雷架は心底嬉しそうに笑い、ポンと手を打った。
「じゃ決まりね!そうだ、今度の日曜日水着買いに行こうよ」
「体育で使ってるやつじゃだめなのか?」
「もう、火冴ったら遊び心がないんだから」
水希がやれやれと首を振る。
「やっぱり水着は別に用意しないと」
「そうか?」
水希と雷架に押されながらも、火冴は渋々納得した。
「じゃ決まりね」
風美がおっとりと笑って言う。
「それじゃ日曜日の10時に駅前ね!」
最後に雷架がそう締めくくったところで、授業開始の合図が鳴り響いた。