仕事と戯れ言と小説の日々 -10ページ目

仕事と戯れ言と小説の日々

何気ない日々や小説を綴っていきます

少女が立っていたのは見渡す限り木が覆い繁っている森の中だった。


「……あれ、ここは……」


不安げな顔で辺りを見回す少女。


呟いた少女に答える者はいない。


ただ、ひたすら静寂が返るだけだった。


「なんでこんなとこにいるんだったっけ……」


少女は短くした黒髪をかきあげた。


「ん~…」


腕を組んで唸る少女に一つの影がしのびよる。


「メェー……」


「わあっ可愛い、羊だ~」


少女は真っ白い羊に駆け寄り、頭を撫でようとした。

「え……」



少女が頭に触れるか触れないかのところで、羊は姿を消したのだ。


「………」


少女は言葉を失い自らの手を見つめた。


開かれた掌はいつも見てるのと同じもの。


これ以上見てもしょうがないと、少女は手を下ろした。


「……?」


少女は何か聞いたような気がした。


「…足音?」


手から目を離し、足音が聞こえる正面を見て―――


「…………!!」


目を疑った。


足音の音源は、馬の足に、羊の体、獅子の頭、鷹の羽を生やした、異形の生き物だった。


「……あ…あ……!」


少女は腰が抜けて立ち上がることもできない。


しかし、その間にも怪物は雄叫びをあげて迫ってくる。


怪物との距離がどんどん迫る。


50メートル。


30メートル。


10メートル。


―――1メートル。


獅子が真っ赤な口を開ける。


「い…いやぁぁ!」


少女は顔の前で腕を交差させた、次の瞬間。


「ギャアア!!」


「……え?」


一瞬辺りが光った後、怪物の悲鳴が響いて、少女はあげていた腕をおろして、前を見た。


目の前には倒れた怪物。


その体の周りにはバチバチと電光が細い帯になって幾重にも重なって漂っていた。


「なにこれ…」


呟く少女の目の前に、ふわりと金色の粒子が飛んだ。


「え?」



ふと下を見れば指先が光の粒子になって宙にとんでいっていた。


しかも量が徐々に増えている。



「え……え?」


自分の体が異常な状態に陥り、少女は完全にパニックになった。



「い…いやぁぁ!!」


森の中に少女の悲鳴が再度響き渡った。