ぼくの本棚 -3ページ目

ぼくの母はおかしい。

何も『飛び抜けて』ということはなく、単に頭のネジがボタンであったというべきか、息子として『ん~、ソレどうなの?』と思う程度におかしいだけである。




我が一家は、父方のハゲとガリ、母方のチビとデブで構成されている。
双方前項目は兄弟の必須事項であり、兄が父方の血を色濃く受け継ぎガリに、ぼくが母方の血を色濃く受け継いでいる。

ハゲな父は鼻筋が通り、くっきり二重。
かなりくたびれてはいるが、欧州風味な顔立ちである。

比べて母は、何かと骨格の自慢をするが、微妙なのだ。
抜群に微妙なのだ。

父を指差し、『こっちがよかった』と母に言った事があるのだが、かなり酷なことを言ったと今になって反省している。
しかし、残念な事に本心である。




可能性として、僕の肉体はすべてをかねる。
モテない理由が盛り沢山ボディー。
今となれば諦めもついたが、思春期には不満を漏らしたものだ。
その度『ハゲる前に結婚しねの』と母。
なんの慰めにもなっていなかった。

やたらと甘やかしたり、変な自慢をしたり、よくわからない服を着たり。
まったくもって理解しがたい母。
自分をバンビちゃんと言った時には、血の気が引いた。
『うるせぇ、デブ』と言いかけた所で、父が落ち着いて『ニホンカモシカだろ?ほら、足短いし。ボテッとしてるしな。でもアレか、ニホンカモシカに申し訳ないか』と言った。
母が『何よ、ハゲワシ』と言い返す。
どちらも的を得ていた。
良い夫婦なのかもしれない。

母は、ネーミングセンスが抜群なのだろう。
奇抜すぎて不評の嵐、結局無難な所に落ち着く。
『マリー』が一番のお気に入りなのか、真っ先に出でくる。
ほんと勘弁してほしい。




先に母の血を色濃く受け継いでいると書いたが、実のところ、色濃くどころではない。
複製に近い。
隣に並べば、疑いなく親子。
寝起きに鏡を見る度『おはよう』と言いそうになる。
それほど似ている。
困った事に、それは性格にまで及んでいる。
まずは、痩せようとしない、だらし無い所。
やたらと甘やかす所。
妙な所で頑な所。
そして、欧風的な名付け方をしたがる所。

僕もまた、おかしいということだ。
あぁ、悔しい。




育て方は間違っていた。
しかし、在り方は間違っていなかった。
馬鹿だが、それだけだ。
母は、いつだって真剣なのだろう。
それはもう、笑ってしまうくらい。

ぼくの母はおかしい。

朽ちる

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君が僕を知ってる




泣いちゃうじゃないか。