今週のマーケットは、株式市場では先週末の欧州政治不安をネタに急落して始まりましたが米国株に伝播しなかったことで週初が安値となり、切返してからのもみ合いといった展開でした。この間、米国株式市場ではSQにむけて一部のAI大型株一極集中が継続しSQは買い方大勝利で終えています。
日本株含め、米国株以外は景気鈍化を株価鈍化で織り込もうとする度に米国株インデックスが上昇することで売り方が踏み上げにあっていました。日本は文化以外は全て米国追随ですから、株価上昇が政権がらみの利権につながっていることで株価を上げるインセンティブになっているので、インフレ株高を続けたい意思は感じられます。
しかし、ここで注意しなければならないことは今年は選挙の年であるということ。
日本でも、政権が自民党下野へと繋がっていく流れになる可能性もないとは言えず、景気サイクルで今のインフレ株高景気があるわけではないということです。
全くの杞憂に終わるかもしれませんが、以前にも紹介したコロナからの景気のからくりを再度紹介します。
日本は米国追随であり、この日本の内容以上に米国がやっていることを日本(他国)が追随しているだけとも言えます。
コロナが起きた時に民間需要が半年以上消えることが予想されました。よって、米国中心に世界各国が政府支出によって
民間需要を穴埋めに入りました。続けて金融面でも最大限とサポートと供給を始めました。
GDPに対する政府債務は2020年以降漸増しているのが分かります。
GDPに占める政府支出は2020年のコロナ時に急激に増加してからもかなりの水準が維持されています。
つまり、コロナの時に施した政策を緊急時の政策としてではなく、コロナが終わってもずっと続けているわけです。日本の場合は金融政策すらもずっと続けておりせいぜいETF買い付けを辞めたぐらいでしょう。
欧米は金利だけは切り上げましたが、マネーの総量は中央銀行の付利を使って減少していません。
そして、企業業績は自社株買いによって株券の総量を減らしてEPSやROEを向上させており売り上げが増加している企業は世界的なシェアをもつ世界トップ企業だけと言ってもいいくらいです。
これだけの大きな政府の下で、コロナ前の景気や業績に戻ったといっても政府支出(補助金含む)が企業業績を作っていることで過去最高の業績とか言っているわけです。
そこでの選挙の年です。
以下は日本の軍事支出です。
今のところ、横ばい推移です。
ところが、これからはこの項目が増加することがほぼ決まっているわけですから、どうやって防衛費を増やすのでしょうか。
また、もっと言えば大きな政府へとなってきたのはコロナ前からなのが分かります。
つまり、景気サイクルではなく対中国を中心とした米国の戦略に沿って安全保障の名のもとに政府支出を増加していく
大きな政府になっていっているわけで、もう後戻りはできないと考えられます。
しかし、可能性は低いですがフランスに見られるように現体制に不満が蓄積して爆発するかもしれません。
よって、日本企業のコーポレートガバナンス等で株高になっている面は表面的なものかもしれません。
理屈では、株価は配当割引モデルによる株主還元で決まってきますが、ファンダメンタルそのものが人工的に作られたものであることは理解しておいても損はありません。
日経平均が10万円になっていくなら、それはクリームパンが500円になっているわけで、民間需要によっての成長でなければ
政治が株価を決めていることになります。
政府支出を含めても成長は成長だと言えますが、その論理は脆いと考えておいた方が賢いかもしれません。
よって、今年の選挙の結果等を踏まえないと長期的な展望は考えようがないと個人的には感じています。
来週も200時間MAを軸に強弱を考え、米国株と為替次第であることに変わりはないと思われます。