2024年4月12日岸田総理大臣が国賓待遇でアメリカを訪問し、米国議会で演説を行いました。演説内容は、簡単に言うと、「自由で開かれた国際秩序を維持するために、日本は米国のグローバル・パートナーとして、安全保障の分野でより統合された同盟を目指す」となっています。

これを聞いて「日本と米国の統合が進むから、中国・ロシアの脅威から日本はより守られることになってよい」と思う方もいらっしゃるかも知れません。

しかし私には「米国の世界覇権を維持するために、米国の手足となって中国やロシアと戦います」と言っているように聞こえます。

この演説の趣旨は、驚くべきことに、4月4日米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)から出された「第6次アーミテージ・ナイ報告書」の要求通りになっています。アーミテージとナイはともに、知日派とかジャパン・ハンドラー(日本を操る人)と呼ばれる人たちです。岸田総理は「私は米国の命令通りに動きます」と言っているわけです。

力が低下した米国が、日本を使って、自分たちの競争相手を弱らせ、自分はほとんど被害を受けないようにすると考えるのは、うがった見方でしょうか?

実際、米国は、ロシアを弱らせるために、ウクライナを使ってロシアを刺激し、ロシアが戦争を始めても、支援はするが前面に出ることはありませんでした。

「第6次アーミテージ・ナイ報告書」は以下に記します。

 

日本は実際「アーミテージ・ナイ報告書」に書かれたようになると言われています。

が、これを伝えているのは、韓国の大手メディア「中央日報」です。このような内容を日本の大手メディアが伝えることはありません。「中央日報」の記事を以下に示します。

「2025年までに自衛隊の共同作戦を監督する新たな統合作戦司令部設立」

「米国は日本の米英豪3カ国安全保障枠組み(AUKUS=オーカス)ピラー2(先端防衛技術共同開発)プロジェクト参加などを支援」

「米国は軍需品の生産拡大およびシステム共同開発過程で日本との協力を優先視」

今月4日(現地時間)、米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が「2024年米日同盟-統合された同盟(Integrated Alliance)へ」というタイトルで公開した「第6次アーミテージ・ナイ報告書」に掲載された提言だ。10日、米日首脳会談の議論案件にのぼることが予想され、さらに首脳会談を控えて最近本格的に議論され始めた重要な議題でもある。米日首脳会談(10日)を6日後に控えて出された今回の第6次報告書に米日首脳会談を迎えてワシントンに集まった両国の高位級要人は大きな関心を示している。

2000年10月米日同盟の改善・強化のための政策提言を盛り込んで初めて出されたこの報告書は、ジョージ・W・ブッシュ政府(共和党)で国務副長官を務めた知日派リチャード・アーミテージ氏とビル・クリントン政府(民主党)で国防次官補を務めたハーバード大学教授のジョセフ・ナイ氏が共同責任者であり、超党派的著名人が参加している。米国の東アジア戦略と日本の安全保障政策の下絵を描く「設計図」であり「指針書」の役割を果たしてきた。

4日、第6次報告書発刊当時に韓国で注目されたのは「韓国とオーストラリアが含まれる主要7カ国(G7)拡大改編が必要」という内容だった。だが、いざ報告書の核心は「不確実性が大きくなるグローバル環境で米国が引き受けてきたグローバル・地域リーダーシップの重荷は短期的に日本が徐々により多く担うことになるというものであり、日本はこのような役割を果たす準備が整っている」という一言に要約することができる。

4年前の第5次報告書のタイトルは「2020年米日同盟-グローバル議題に対する同等な同盟(Equal Alliance)」だったが、今回の第6次報告書では「統合された同盟」という概念に進化した。両国同盟関係の対等性を超え、さらに深まった渾然一体の関係に進まなければならないという意味に解釈することができる。報告書は「日本が野心に充ちた戦略的軌道に入った今、米国と日本が経済と安全保障問題の連携等、より一層統合された同盟という次の段階に進まなければならない」と求めている。

第6次報告書は経済安保、サイバー協力などの幅広い分野で米日同盟の拡張を通した東アジア戦略を提案している。具体的に見てみると、まず2025年3月までに日本自衛隊の共同作戦を指揮する新しい統合作戦司令部(J-JOC)を設立して、米国は作戦実行権を持つ4つ星級作戦司令部を設立することを提案した。

報告書は「できるだけ日本統合作戦司令部と在日米軍作戦司令部は有事の際にひとつに編成されなければならない」とした。最近、日本で「在日米軍に日米共同演習・訓練計画の樹立、自衛隊統合作戦司令部と情報共有などの権限を付与する方案が検討されている」と読売新聞発の報道があったが、アーミテージ・ナイ報告書と脈絡が同じだ。

報告書はまた、▽軍需物資の生産・システムの共同開発過程における米日両国の協力強化▽2007年「安全保障協力に関する日豪共同宣言」をモデルにした韓国と日本の史上初「共同安保宣言」とこれを通した両国の防衛関係正常化▽米日間の関与にフィリピンを含むことを最優先視▽自衛隊を活用した日本のより一層積極的な中東海上航路防御--などを求めた。

これだけでなく、核心技術の保護およびサプライチェーン(供給網)の回復力強化など経済安保の側面での米日協力も強調した。報告書は▽中国の過剰生産能力とダンピング防止のための米日とパートナーの協力強化▽韓国とオーストラリアが含まれたG7の拡張▽米国家安全保障会議(NSC)と日本国家安全保障事務局が主導する新たな経済安保対話を通した経済安保政策の調整強化--などを注文した。

アーミテージ・ナイ報告書はこれまで提示された提案のうち相当部分が現実化するなど、米日安全保障政策に大きな影響を及ぼしてきた。「日本の集団的自衛権行使」を主張した2000年第1次報告書は日本右翼勢力の平和憲法第9条改正論を後押ししたほか、2015年9月日本安保法制制定によって貫徹された。

2007年2月の第2次報告書は日本の「武器輸出3原則の緩和」とミサイル防衛強化を提案したが、過去の安倍晋三政権で相当部分が実現化した。2012年韓国と日本の歴史問題解決を促した第3次報告書ではその3年後に慰安婦合意が成立している。このため日本安保政策専門家などの間では「書かれた通りになる恐ろしい報告書」という別称で呼ばれるようになった。

米日首脳会談を2日後に控えた8日、戦略国際問題研究所(CSIS)主催で開かれた米国のラーム・エマニュエル駐日大使と日本の山田重夫駐米大使の間の対談でもアーミテージ・ナイ報告書の内容を何度も引用され、その影響力が立証された。