虚実茫漠たる無頼作家の苦悩を描いた、若き実力派の問題作! 己れの破滅的な生き様を文学に昇華させ、最後の文士と呼ばれた男の死。
 遺稿に綴られていたのは、自殺したはずの実弟との奇妙な共謀関係だった! 果たしてこれは真実なのか?
 私小説の主人公は俺やない、兄ちゃんやーー ここに書かれたことは実現しなければならないーー 好色で、酒好きで、暴力癖のある作家・須賀庸一。 
業界での評判はすこぶる悪いが、それでも依頼が絶えなかったのは、 その作品がすべて〈私小説〉だと宣言されていたからだ。
 他人の人生をのぞき見する興奮とゴシップ誌的な話題も手伝い、 小説は純文学と呼ばれる分野で異例の売れ方を示していた……。 
ついには最後の文士と呼ばれるまでになった庸一、 しかしその執筆活動には驚くべき秘密が隠されていたーー。 真実と虚構の境界はどこに? 期待の新鋭が贈る問題長編!

賢い弟の隠れ蓑。
賢い弟の紡ぐ私小説になぞる生活をしなければならない。
無頼作家は妻をも殺す。

葬式を託されたのは音信不通の娘。
最後に娘に太い郵便物が届く。

面白かったよ。ドラマになってもいいくらい。ラストもいい。