2023年10月,娘が長崎県五島列島に研修に行くことになったのですが,「こんな機会でもないと五島列島に行くことなど二度とあるまい」と考え,その研修が始まる直前の週末を利用して,家族で二泊三日で五島列島を旅行しました。
 五島列島の観光案内などはネットで幾らでも上がってくるでしょうし,僕はそのような文章は苦手なので,特に触れません。ただ,予想以上の自然の素晴らしさに感動したことは述べておきたいと思います。死ぬまでに一度は行くべきところです。


 さて,ここで触れたいのは,僕が驚いた,音楽に関するちょっとした「偶然」です。
 まずは,1日目に昼食のために入った,井浦岬というところの近くの山の中腹あたりにある,「ニューパンドラ」というお店のことです。
 カレーや定食などありふれた地元料理を出す,いかにも「昭和」な,古びた感じの普通の(失礼!)お店なのですが,そこではなぜだか,ずっとビートルズ,しかも有名曲からマニアックな曲まで満遍なくかかっているのです(おそらく有線のビートルズチャンネル)。
 こんなことを言うと失礼かもしれませんが,人気も少ないこんな日本の片田舎のお店でビートルズを流したところで誰も喜ばないだろうし,接客サービスという意味ではむしろマイナスではないかと思うのです(ビートルズをあまり聞かない人にとって「I Am the Walrus」を聞きながら食べるのは普通は苦痛ではないかと思う)。無難に歌謡曲などを流しておけばよいと思うのです。
 あまりにも不釣り合いで気になったものですから,支払いをする際にお店の方に聞いたところ,社長がとてもビートルズが好きなのだと,苦笑いしながら教えてくれました。
 しかし,店に社長がいる気配もありませんし,年配の女性従業員の方たちが喜んでいる様子もありません。不思議だなあ,と思って店を後にしたのでした。


 ただ,この店のことだけならわざわざブログに書こうとは思いません。もう一つ,偶然が重なったのです。
 二日目の夜は福江という町で,「望月」というミシュランにも掲載されたというステーキ店に行きました。とにかく,福江は午後7時を過ぎると商店街すらほぼ全部シャッターが下りていて,さらに商店街から離れると,人通りもほとんどなく通りも真っ暗。本当に人が住んでいるのだろうか,と思うような住宅街の真ん中にこのお店はあるのです。人気の無い通りから扉をくぐったとたん,たくさんのお客さんが賑やかに過ごしてて安心しましたが。とてもおいしかったのですが,ここも,店自体は「オシャレ」とはほど遠い感じのところでした。

 ところが,ここでは今度はなぜだか,ずっとカーペンターズがかかっているのです。
 周囲は地元の人や家族連れが多く,賑わっていて,到底流れている音楽を聴いているとは思えません(それほど大きな音で流しているわけではないので,よく知っている者でないとほとんど聞き取れないと思います)。
 ここでも気になって,支払いをする際にお店の人に聞いたところ,「上司がカーペンターズが大好きでそればかり流しているんです」と言われました。


 単なる「偶然」と言えばそれまでなのですが,思いも寄らない場所での「偶然」に楽しく驚いた僕なのでした。