僕がはじめて意識して沖縄民謡に出会ったのは,1973年6月,小学4年生の時にNHK「みんなのうた」で聞いた,「谷茶前の浜」(たんちゃめのはま)という曲でした。元々は沖縄民謡ですが,山本直純が編曲して合唱団が歌ったのでした。
僕は,この琉球音階(ドミファソシド)の不思議な響きを好きになり,この曲はいつまでも耳に残っていました(CD化などはされていないので,この時以来聞いたことがありませんが)。
僕がギターやピアノを始めたのは中学校からだったので,当時は楽譜を読めるはずはないのですが,なぜだがこの時のテキストを買っています。なぜこの時だけ買おうを思ったのかは思い出せません。
なお,このテキストには,この曲以外にも,「翼をください」を書き,後にアルファ・ミュージックを設立しYMOを世界に送り出した村井邦彦が書いた名曲「美しい星」や,「さらばジャマイカ」,「大きな古時計」,「森の熊さん」などと名曲が目白押しです(ちなみにこれらの曲は後にCD化されています)。
次に琉球音階に出会ったのが,ベタですが,1977年,中学2年の時に聞いた,喜納昌吉とチャンプルーズが歌う「ハイサイおじさん」でした。確か,FM大阪のライブ番組で,この曲と「東崎」(あがりざち)を聞いたのです。
当時,あたかもコメディソングのような扱いでしたが,僕は,この曲の持つ凄いパワーに圧倒され,以後今日に至るまでその魅力に魅せられたままです。
僕にとってこの曲の魅力は,琉球音階の不思議な響き,三線の音色に加え,合いの手のように入る甲高い女性のコーラスとボーカルです。
「ハイサイおじさん~♪」の直後や,時折ボーカルのバックに,バックビート(拍の裏に入る)で不規則に入る,音程があまり明確でない,あえて不安定にして,空中を漂うかのような,「ハーイ」や「イヤサ」などの合いの手。
それから,女性だけになる「ありありわらばはええわらば」のあたり。
出るか出ないかの高音で歌う,途切れそうになるような女性ボーカルがどうにも魅力的(あえて言えば「セクシー」)で興奮するのです。
しかも,とにかく楽しそう(不思議ですが笑いながら歌っているように聞こえます)。
おそらく喜納昌吉のボーカルだけならこれほど好きにならなかったと思います。
この後,沖縄民謡は比較的よく聞くようになりましたが,このような,女性の細い,甲高い歌い方は,沖縄民謡によく用いられているように思います。
この曲は,喜納昌吉自身も何度も再録しているようですが,僕は,1977年にメジャーで発売されたバージョンが一番好きです。
喜納昌吉が有名になってからは,例えば他に打楽器を加えたりしてますが,誰も下手に手を加えないバージョンが一番よいと思います。これはバラードである「東崎」にも言えることで,先のメジャーデビューしたアルバムのバージョンには矢野誠などがシンセサイザーで効果音などを入れていますが,正直このバージョンはあまり好きになれません。
とにかく,「ハイサイおじさん」は今でも年に何回かは無性に聞きたくなります。