前号続きです。
□□□□□□はじめに□□□□□□
形態で分類される事の多いツッコミを、
その効果の面からを4つに分類。
(A)笑いのフォーマットの再提示
(B)笑いのフォーマットの落差拡大
(C)笑いのフォーマットの顕在化
(D)笑いのフォーマットの創造
前号では、そのうち、
(A)笑いのフォーマットの再提示
…の効果のみを持つ最小限のツッコミを、
さらに3類型に細分化しました。
(a)「笑いのフォーマットの存在を再提示」
(a')「笑いのフォーマットのズレを再提示」
(a'')「笑いのフォーマットの基準を再提示」
今回は、
(B)笑いのフォーマットの落差拡大
を考えます。
□□□□□□(B)落差拡大□□□□□□
(B)笑いのフォーマットの落差拡大
ツッコミは、
(A)の様にボケをなぞって補足するだけではありません。
ある種のツッコミの言動には、
ボケの言動が提示した笑いのフォーマット、
特にディスコミュニケーションの程度を、
より大きく見せる効果が期待出来ます。
この、
(B)笑いのフォーマットの落差拡大
は、ボケの笑いのフォーマットの存在が前提となるので、
基本的には(A)と併用して、
付け加える形で表現する事が多いように思います。
次の2類型に分けて説明。
(b)質的落差拡大
(b')量的落差拡大
これも難しい言葉を使ってますが、
ごくごく普通に見られるツッコミです。
□□□□□□質的落差拡大□□□□□□
(b)質的落差拡大
ツッコミって、
言葉だけじゃありませんよね?
ツッコミは普通、
何らかの感状表現などの演技を伴います。
怒り・驚き・戸惑い・狼狽・呆れ・スカシ・無視などです。
これ等の演技は、
ボケの言動に対する相容れない感状、
つまりディスコミュニケーション感の演出です。
これ等は、
笑いのフォーマットに当てはめるなら、
笑いのフォーマットの〈ズレ〉を、
より大きくみせる効果といえるでしょう。
< 基準 >:常識的な言動
< ズレ >:非常識な言動
<ツッコミ>:「何でやねん!」「違うわ!」
↓↓↓↓↓↓↓
< 基準 >:常識的な言動
< ズレ >:(怒る程、呆れる程)非常識な言動
<ツッコミ>:「何でやねん!!!」「違うわ!!!」
例えば、爆笑問題の田中さんのツッコミって、
「何でだよ!」などシンプルですが、
怒鳴ったり、呆れたりする事で、
ディスコミュニケーションの大きさを伝えています。
また、
大声を出すなどして落差拡大効果が分かりやすい、怒り・驚き・戸惑い等の作為的な表現と比較して、
スカシや無視などの不作為的な表現は、
一見落差拡大の効果を伴わない様にも思えます。
しかし、
ツッコミの冷静さで表されるボケとのテンションの差は、
ボケのディスコミュニケーションをより大きく見せる効果があります。
例えばナイツの漫才で、
塙さんが下ネタなどに暴走するネタがありますが、
土屋さんのツッコミが冷静なほど、
テンションの差が大きく面白く思います。
これ等は、基本的には(A)の突っ込みと併用する形で表現されますが、
単独で表現される事もあります。
例えば、ツッコミの言葉はなく、
顔の表情だけでもディスコミュニケーションを表現できます。
印象的なのは、漫才ではありませんが、
マツモトクラブさん。
ツッコミの言葉はなく、
ほぼ顔だけでディスコミュニケーションに翻弄される様を表現するのが見事です。
その他に、
誇張した表現で例えツッコミする場合なども、
ディスコミュニケーションを強調するので、
「質的落差拡大」と言えます。
→例えツッコミは(D)も参照。
□□□□□□量的落差拡大□□□□□□
(b')量的落差拡大
これは簡単に言うと「ノリツッコミ」です。
A:アツはナツいなぁ~
B:そうそう、ホント今年のアツはナツい、、、って、オイ!夏は暑いやろ!
ステージ上にディスコミュニケーションな人が一人現れたと思ったら、
次の瞬間には二人に増殖し、一気にゼロに戻る。
数的にディスコミュニケーションを大きくした後に突っ込む事で、
その落差を大きくしている訳です。
ボケに乗っかる長さも色々ですが、
ノリのデュレーションも量的落差拡大と言えますね。
A:アツはナツいなぁ~
B:そうそう、ホント今年のアツはナツい。でも去年のアツもナツかったよなぁ。そんで秋は急に気温下がって、オー、タム(寒)ッてなって、でも冬はナント、ナントウの風が吹いて、ダントウで、、、って、オイ!夏は暑いやろ!
…んー、、、
長く乗ればいいという訳ではありませんが…
→ノリツッコミは(D)も参照。
以下次号。。。
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