順不同です。
□□□□□□はじめに□□□□□□
プレジデントオンラインのこちらの記事
(http://president.jp/articles/-/22033?display=b)では、
放送作家の方が、「笑いの基本構造」として以下の8つを挙げています。
1.ボケ
2.勘違い
3.誇張法
4.反復
5.ダジャレ
6.のっかり・スカシ
7.時事ネタ
8.差別・自虐ネタ
「のっかり・スカシ」について考えます。
□□□□のっかり・スカシとは?□□□□
「のっかり・スカシ」は、
他人が提示した「笑いのフォーマット」に対する、
「リアクション」の例示ですね。
……という事は、
そこに存在する「笑い」は、
他人が提示した「笑いのフォーマット」の方で、
「のっかり・スカシ」には補助的な役割しかないんですかねぇ?
「のっかり」は他人が提示した「笑いのフォーマット」の再提示?
「スカシ」は……え~と、無視?何でしょう?
そうじゃないですよね。
「のっかり・スカシ」は、
他人の提示した「笑いのフォーマット」に対するリアクションであると同時に、
「のっかり・スカシ」自体が、
「笑いのフォーマット」を新たに提示しているからこそ、
笑いのテクニックとして挙げられているんでしょう。
どういう事か解りますか?
「のっかり・スカシ」が新たに提示する「笑いのフォーマット」は、
どういうものでしょう?
□□□□□あるべき姿から逸脱□□□□□
「のっかり・スカシ」というリアクションが「笑いのフォーマット」を新たに提示するという事は、
要するにそれが、本来あるべきリアクションから逸脱しているという事ですね?
相手がボケた事で「笑いのフォーマット」が提示された場合、
それに対しては、
その提示された「笑いのフォーマット」の「落差を感受」した事を前提としたリアクション、
つまり、
「笑う」又は「突っ込む」ことが期待されます。
「笑う」「突っ込む」が、
あるべきリアクションの姿。
「のっかり・スカシ」は、
その期待される「あるべきリアクション」から逸脱するので、
「のっかり・スカシ」が笑いになる訳です。
□□□□□□フォーマット□□□□□□
つまり、
他人により提示された、
< 基準 >:Aにも拘わらず
< ズレ >:Bと言う
<ツッコミ>:「Aやろ!」「B違うわ!」
…という笑いのフォーマットを感受して、
それに突っ込みたい気持ちが起きたら、
「笑う」か、
「『Aやろ!』等と突っ込む」か、
どちらかの行動をとるべきというのが、
「共有されている価値観」。
それに対して、
例えば、
「そうそう、Bなんだよね。」(のっかり)
「……あっ、そういえばこの間さぁ……」(スカシ)
などとリアクションする事は、
あるべきリアクションから逸脱しています。
つまり、
「のっかり」の笑いのフォーマット
< 基準 >:「笑う」か「『Aやろ!』等と突っ込む」べきにも拘わらず
< ズレ >:のっかる
<ツッコミ>:「のんなや!」「Bちゃうわ!ボケとんねん!」「突っ込めや!」
「スカシ」の笑いのフォーマット
< 基準 >:「笑う」か「『Aやろ!』等と突っ込む」べきにも拘わらず
< ズレ >:スカす
<ツッコミ>:「無視かい!」「何か言えや!」「突っ込めや!」
……という「笑いのフォーマット」を、
新たに提示する事になる訳です。
でもこれって、
「突っ込み」という文化のある日本だからこそ、
「突っ込まない」という不作為が、
常識からの逸脱、ディスコミュニケーションになってると言えるんじゃないでしょうか。
日本人以外には理解されないかも?
□□□□□□入れ子構造□□□□□□
笑いの過程を、
(1)基準の設定
(2)ズレの生成
(3)落差の感受
(4)感受の反応
と考えます。
他者のボケのフォーマットを「第一段」、
のっかり・スカシのフォーマットを「第二段」とすると、
他者による第一段の(1)(2)の提示
↓
第一段の(3)(4)の期待=第二段の(1)
↓
第一段の(3)(4)の欠如=第二段の(2)=のっかり・スカシ
となります。
「のっかり・スカシ」は、
・第一段の笑いの(3)(4)の欠如
・第二段の笑いの(2)の役割
という両面を持つもので、
2つの笑いを入れ子状?に組み合わせた特殊事例と言えます。
私たちは、ごく当たり前に笑いとして理解していますが、
意外に複雑ですよね。
□□□□□□おわり□□□□□□
笑いのテクニックという意味では、
相手がボケるという条件が不可欠ですが、
条件を充たせば、
誰にでもできるお手軽なテクニックですね。
ただ、「のっかり・スカシ」自体は、ありふれた笑い。
しかも、
提示される「笑いのフォーマット」も、
上記の定型パターンにすぎません。
それだけで簡単に笑いを獲れるかっていうと、疑問です。
「前もって、律儀に突っ込む流れを繰り返す」とか、
「突っ込みをイメージし易いボケ方」など、
「当然突っ込むだろう」という空気を作る工夫がある方がいいでしょうね。
簡単に出来る「のっかり・スカシ」ですが、
それを面白くするには、
技術が必要だという事ですね。
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