2023年2月7日(火)13:30からの三菱重工決算発表の中で「スペースジェット開発中止」が載り、これでANAウイングス・J-AIRへのMSJ導入はなくなった。

 この件は伊丹空港ANA・JALグループ利用者の一部を直撃する事柄でもあったが、三菱発表のおかげでANAウイングスQ400・J-AIR現行Eジェットの後継機種の話題を利用者も航空スタッフも出し易くなったと思う。尤もJAL・ANAから話が出たとしても、メディアへ向けての発言であろう。

 

 本稿表題の当該人物である私個人は2018年1月に小牧のMRJミュージアムへ行き、モックアップのシートに座って自らE170/190・CRJ200との違いを体感、さらに「2020年秋か2021年春にANA伊丹発着路線で初就航。当日空席待ちで初便に乗る算段は」をシミュレーションしていた程だった。そして2020年代半ばにはMSJが伊丹の南北ターミナルから次々に出発、を思い描いていたが・・・。

 2020年秋の三菱が「一旦立ち止まる」発表。ここから私はその代替機を想定するけれども、MSJ開発継続の願望が自身にあったのでそれを大きくいうのは抑えていた。

 だがそれも、中止発表ですっきり。ようやく次の国内線リージョナルジェット機を考え、話題に出せる時が来たのだ。

 そしてANA・JALから間を置かずに次のリージョナル機のことが表面に出始めると私は思い、まずはANAからの発表を待つ態勢に入った。

 

 もしかして速攻でANAが「エンブラエルE2導入」を発表?なんてことにも心の準備をするが、MSJ導入取り止めでANAウイングスQ400の後継機種導入がようやく具体性を帯びたといえよう。換言すれば、トリトンブルーQ400が見られる時間にも限りが出て来たか。

 次にANAの後となろうが、それでも1年以内にJALから初期導入J-AIR E170の更新について何らかの発表があると想定。加えてIBEXエアラインズ・FDAでも何らかの動きが見られるかもしれん。

 もしANAがエンブラエルE2導入となれば、CRJ700NG初期導入機置き換えが迫ろうかというIBEXはどうするのか。こちらもE2なら、ANAとの違いをどこで示すのか。おや、メディアを見たらエアバスA220がリージョナルジェットのカテゴリーに入ってるが?よってANAはエアバスA220かもしれんぞ、等々の予測・正式発表後の動揺などでリージョナルジェット趣味界が賑わう・・・ことになれば嬉しいのだが。

 ANAウイングス導入のリージョナル機は何機?IBEXはエンブラエルを導入するのか?ANAウイングスQ400の一部はORCに移管され、ORC新塗装Q400が遂に出現?J-AIR・FDAのE2初号機はいつやって来る?等々俄然興味が湧いてきた。

 

 けれども開発中止発表から4ヶ月半を経てもANA・JALからMSJ後継についてはまったく出て来ず、2023年6月27日のANA株主総会を報じるメディアの記事には「発注当時と事業環境や市場環境も異なる。現有機材との親和性を考慮して選定を行っていく」とあり、MSJに替わる機種が決まるのはまだまだ先という感を受けた。

 

 上記ANA株主総会が開催されて間もなくの6月末で小牧の「MRJミュージアム」が閉館となるのだが、そちらは3年前から既に休館になっていた。

 2017年11月末に開館。J-AIR CRJの退役が迫る頃でもあり、いずれJ-AIRに加わる機種となるMRJに一刻も早く触れたい私は年明け1月8日に小牧の同館へ。「クラスJはこうなるのか」とか「Eジェットに比べて明るい」とか、普通席に座ってみて「天井デザインは見応えあり」など思ったものだ。

 JAL機内誌SKYWARDには「2021年導入予定」と載っていたが、私は遅れを考慮して「2023年J-AIR就航」と決めつけ、それを前提としたJ-AIR趣味活動へ。

 大阪ではANA・JAL・私だけでなく、伊丹空港もMRJ就航を決めつけており、ターミナル改修ではそれを前提として小型機用搭乗スポットを南ターミナルへ設けていた。

 

 時を経て現在。伊丹空港北ターミナルからCRJはいなくなり、替わりにボーイング787-8やエアバスA350-900が発着。否、787やA350は777の替わりだ。

 国産リージョナルジェット機就航をシミュレートしていた時間を返せ~!とメーカーへ言いたいところでもあるが、航空利用者はあくまで「乗る人」に過ぎず、よって三菱の顧客に非ず。このことが自身の哀れさを増幅させる。

 

 2023年6月上旬にメディアで「Q400 2026年以降退役」が報じられ、それでは後継機が表に出るのは2026年がもっと近づいてからか?

 「リージョナルジェット趣味界が賑わう」という私の予想も、後継機の件で賑わっている様子は無し。結局2月の開発中止発表直後に一時的な盛り上がりがあったかのようだが、その後趣味界でのそれは低調のまま2023年末を迎えた。

 ところがその頃に「ANAがスペースジェット代替機選定」というニュースが出て、74席機Q400の後継機選定とも読み替えられることもあって、そこからE2だA220だ等の予想が見られ始める。

 

 いっぽうJ-AIR・FDA・IBEXエアラインズの70席台機就航から2024年で15年を迎え、J-AIR CRJが就航15年を迎えた2016年から退役が始まっていることを思えば、これらの代替の検討が始まっているかもしれん。けれども感染症流行に伴う減便であまり飛ばなかった時期もあり、飛ばせる期間が延びているとしたら後継機選定等は先に延びる?

 そして2024年4月27日のANA決算報告では「エンブラエルとボンバルディアはあくまで候補のひとつ」「この1年かけて機材選定については議論を深めて行く予定」・・・2024年内には表面に出て来るのかどうか。

 私としては機種増加のほうが乗る楽しみが増すので、そこでA220が来てくれないものかと思う。ところが短胴型A220-100は全席普通席で横2人-3人配置×24または25列の120~125席(←KEのA220-300、LXのA220-100から推測)。

 これって126席ボーイング737-500か134席MD-87の代替になろうかという値で、近年だとANAグループもJALグループも新規導入しなかったサイズだ。

 

 ところでJALグループでは現行95席機の次のサイズは165席機。E190では収まらず、737-800では40席ほど空くような時(それでも利用率は70%台半ば)、そういう空席を減らすために適した機種は?

 本件は以前航空会社スタッフから「空席を少なくしたい」等々を聞いたことに端を発しており、たとえ空席数が少なかったとしても、それがさらに少なくて満席に近ければ近いほどいいのかなと。よってそういう時を想定して120~130席台のA220を・・・。

 

 これに関しては3月21日にJALから42機の新規導入が発表され、その中にはエアバス機も含まれていた。ただしA350-900・1000とA321neoであり、A220の記載は見られず。

 このリリースはJAL導入機材のことであって、グループ運航会社は含まれてはいない。よってJALがリージョナル部門を担うことは無く、JALグループで次に導入するリージョナルジェット機種はJ-AIR運航、それも100席以下機と読み取れた。

 

 ではJ-AIRにA220クラスは入らないのかということだが、A220では-100であれ-300であれ客室乗務員は3人となり、それだとかつてJEXである。

 同社は2014年10月にJALと合併しており、その流れを思えばJ-AIRでCAが常時3名いるフライトが設けられるとは考えられない。それに全席普通席だと104席設けられるE190導入に際しては、クラスJを15席設けて合計95席にしており、よって101席以上となる「J-AIR A220」は無し。

 

 かくして次にJ-AIRへ来るのはE190-E2か。否、最初の置き換えは76席E170で、いっぽうそちらの機種はE190相当なのでキャパシティ過多。かといってE175-E2は何かまだ開発途上とのこと。

 もはやどうなるか判らんが、JALとJ-AIRを再編して新しいリージョナルジェット運航会社を設立、それならE・E2ジェットそしてA220運航もあり得る。

 

 ついでに妄想域のことを記すと、2024年現在バス・鉄道での従業員不足のため特にバス路線減便が著しい。エアラインに於いても乗員不足が発生しかねず、我が国では今世紀に入ってからの小型機多頻度運航が見直される事態もあり得る。

 その際の輸送力確保を図るため、中~大型機投入のいっぽう頻度低下・減便策も考えられるのだが、もし運航側がそういうのを想定していると100席以下機新規導入はなかなか打ち出せまい。

 私の上のような懸念の払拭ためにも、ANAには早くQ400後継機を明らかにしてもらいたいところである。そしてその時から旅客機趣味界でリージョナルジェットの話題が再度盛り上がることを強く願う。