2000年12月3日の熊本日日新聞にはAMX/天草エアラインについて「来夏にも福岡線増便」という見出しがあった。

 4~10月搭乗率は福岡線82.4%、熊本線54.6%、平均75.1%。朝の福岡行き101便は90.8%、福岡からの天草行き102便は89.4%、ビジネス客が増え午前中の増便を求める声が多かったとのことで、まずはめでたい。

 しかし冬期の利用実態も私自身の目で確かめたく、12月4日(月)に今年3度目のAMX訪問へ出掛けた。

 

 天草へ朝一番に着くのは福岡空港9:10発AMX102便で、これには8:50までにチェックインしなければならない。大阪から当日朝出発で102便に間に合わせることは今春の時点では出来なかったけれど、JALが関西空港7:10発JL321便を設けてくれたおかげで102便へ間に合うようになった。

 こうして私はJL321便で福岡入り。ところが到着が旧国際線の第3ターミナルで、AMX搭乗手続きを行う第1ターミナルJASカウンターまで延々と歩く。さて1タミへ到達すれば102便は満席。「月曜日」「朝」「天草発」なら満席は想定できるが、福岡発もか。

 

 1タミ南端の階段を下り、エプロンを歩いてボンバルディアDASH8へ。同型機に乗ったのはAMX就航初日が初めてだったが、その後RACや台湾の立榮航空で乗って、今回が2000年では10回目のDASH8。また11月26日にRAC那覇→与那国で乗ったので8日ぶりだ。

 さらに記すとフェアリンクで2回乗ったCRJもボンバルディアの飛行機で、今年はボンバルデイア旋風が日本の空及び私に吹いたといえる。加えて来年2001年4月からJ-AIRがCRJを、7月からANKとNAWがDASH8を就航させる予定で、旅客機趣味者には忙しい日々が続く。

 さて102便は定員39名中実乗は36名。背広姿が目立ち朝の福岡発もビジネス需要が旺盛とうかがわせ、逆に天草観光の雰囲気がまったく感じられないのは正直意外でもある。

 

 9:15に離陸し天草空港へは9:39着。飛行時間は24分という短さで、5:45に自宅を出て私は4時間弱で天草空港へやって来た。本日8レグのCAへ「後でまた」と告げ、ステアを下りると空港スタッフへ挨拶。クリスマス土産のキャンドルを到着口を出た所で頂戴、そして2人のカウンタースタッフへ挨拶した後はバスでまず本渡市役所へ向かった。ところでさっきのビジネスマンたちはどこへ行った?バスで本渡へ向かうのは私を含めて2人だけだった。

 

 朝10時までに天草へ着くなんて、AMX効果が顕著に表れている例だろう。10時過ぎに市役所前にいる、思えば1999年7月1日に本渡へ来た際は伊丹を8時前に出る飛行機に乗りこちらへ13時前に着いたのだから、往時とはえらい違いだ。音がして空を見ればDASH8が上昇していき、街からも飛行機が見えると知った。

 市役所新館1階にて福岡との往来について訊けば、やはり飛行機に人気があるという。運賃が高く感じられないかと私が訊けば、時間短縮効果のほうが大きい、それまであまりにも時間がかかっていたこともあって、よって飛行機指向になるとのこと。

 いっぽう熊本市方面へは自動車・高速船「マリンビュー」利用となり、AMX熊本線はビジネス客よりもレジャー客、それも熊本空港乗り継ぎ客が主体らしい。

 私はバス・マリンビュー両方を利用したことがあるが、時間・快適性は熊本港で乗り換えがあるけれどマリンビューが快適だ。けれども同船は1隻しかなく、よって1日5往復しかなく利用時間帯が限られてしまうのが弱点だろう。

 この後本渡市街地にある旅行会社を訪ねるとAMX利用パッケージプランを発見、その中にビジネス客向けのものもあった。

 

 本渡バスセンター12:45発の空港行きバスに市役所近くのバス停から乗れば私が1人目の乗客、そして終始このままでアクセスバス存続って大丈夫なんかいなと思ってしまった。しかしながらバスで空港へ向かう人は少なかったが、天草空港13:55発福岡行き105便は満席表示・・・12月の昼間で満席!? だいたいこの時期は閑散期といわれ大手航空会社割引運賃の割引率が最も大きくなる頃というのに、この混み具合は何なんだ?

 ロビーを見ればレジャー風の人もいるが用務で乗る人も多そうで、その年齢層は30~50代と診た。実際には空席1で私は乗ろうと思えば乗れたが、2時間半後の107便まで一休み。その前に定員39名中38名を乗せた105便離陸を公園から眺めた。

 

 それからロビーの腰掛に座って昼寝をする私だったが、この間は人の動きがぴたりと止まった。これ勿体なくはないか、というのは天草空港は周りに何もないことを除けば綺麗で広い交通ターミナルであり、それなのにがらーんとしてしまうのは寂しい気がする。

 交通ターミナルは人々の離合集散が活発にあって賑わうというイメージを抱いているのだが・・・けれども安全性を考えれば不特定多数が集まるも問題があるな。いや待て、羽田や伊丹はどうなんだ。

 

 カウンタースタッフと報道のことを話したのだが、私が見る限りではテレビは「好調」と肯定的で、帰阪後の12月20日福岡放送夕刻のニュースでもこれが報じられていた。因みにそこで出ていた人物は、確認できたものでカウンタースタッフ・専務・CA・私である・・・!!

 けれども6月頃地元では「低空飛行」と搭乗率低下を記したものがあったとのこと。「でも6月ってどこも落ち込む時ですよ」と私は言ったが、それは他社カウンターでこの時期利用数が落ち込むと聞いていたから。

 

 16:30発福岡行き搭乗手続きが始まり搭乗者がロビーに集まってきた。我が国のDASH8運航路線で高い利用率を示しているのがこことRAC那覇~久米島・南北大東線だが、那覇空港28番ゲート前とこことでは客の格好が全然違うという印象がある。

 那覇は「島へ帰る」「島へ観光」といったレジャー客や沖縄電力スタッフのように作業着で乗る人たちが多く見られるが、ここは荷物が小さい小旅行客や用務客が主体。

 12月4日(月)の夕方は都会的服装の人が目立ち、そしてロビーの雰囲気は空港というより高速バスに乗る前のようだった。ここで待つ人が夕方の天神のバスセンターにいても違和感は無かろう。

 

 25名の客を乗せた107便の福岡空港までの飛行時間は25分。朝とは異なる服装のCAとまた言葉を交わす。私は「日帰りですが、その短い時間でも今日は感慨深いものがありました」。機内でその内容は明らかにしなかったが、その一部は以下のこと。

 地方発大都市行き、それまでのエアラインがこの逆方向だったのに対しAMXはそれを実行、その結果観光需要よりもビジネス需要を多く呼び寄せ、そして高い利用状況に至らしめた。

 就航路線搭乗率が伸びず路線存続問題まで抱える空港がある昨今、39人乗りという機材で地元ベースの運航を担うAMXと天草空港はこれからの地方都市対大都市交通の在り方を示したと私は思える。

 

 地方のアイデンテティ云々には触れないが、人の動きが活発であればあるほどその土地に活力が湧いてくる、私にはそんなイメージがある。需要に合った機材でフリークェントサービスを行う、それが陸上交通が不便な都市そして空港が進む方向と私は考える。

 西暦2000年は天草エアラインとフェアリンクという小型機専門2社が参入したことで、特にコミューターまたはリージョナルエアラインが台頭してきたと思う。そして既存エアラインとも合わせた緻密な高速交通ネットワーク構築に期待する。