2021年12月27日(月)のラストランが満席で乗れそうになく、よって私には12月10日(金)の「道後編」松山駅到着を見るのが最後になったJR四国初代「伊予灘ものがたり」。自身の最終乗車については、2021年8月8日(日)までさかのぼる。
これ以降は2022年春の185系特急「伊予灘ものがたり」登場を待つだけ・・・と思っていたら、ラストラン前の12月23日(木)に梅小路の鉄道博物館にて「伊予灘~」車両の展示の報が!これのおかげで「伊予灘ものがたり」は、初代車両ラストランの後にも続きが生じた!? 「関連イベントは、決定次第お知らせします」とあり、どんな続きが見られるのか??
「伊予灘~」が梅小路に来るとなれば、その列車及び愛媛県の鉄道にこの上ないイメージアップをもたらした同列車アテンダントの来場も期待される。その通りに1月22日と23日に「アテンダントによる車内案内」が催されることとなり、これが1月6日(木)に知らされた。それだ!
ただし「開催時刻は会場にてお知らせ」とあり、こうなれば博物館開館時刻に行って現場待機だ。という本件は17日(月)に発表されていたのだが、イベント情報頁しか見ていなかった私は早く行って現場待機の方針のまま。1月22日(土)の8:00過ぎに大阪市内の自宅を出て、10:00を少し回った頃に入館。初めて来る京都鉄道博物館館内の「車両工場」ってどこだ。
現場着は10:13。見覚えのある団扇などが展示され、愛媛県関連パンフレットあり、JR四国グッズ販売もあり。西側に黄金の章、東側に茜の章という配置で、松山発着の時とは向きが逆転しとる。茜の章の先には47形と185系の縦幕があり、これを見たら185系はスマートだ。
南側というか壁側に列が出来ており、聞いていたらこれが車内案内待ち列だった。正しくは整理券配布待ちで48名まで、博物館スタッフが並ぶ人数を数えていたが、私は列に加われたので参加出来るのだろう。
その車内案内イベントは11:00から、あと40数分。程なく整理券配布が始まり、10:21にそれを受け取ると21番。ただしこの順で車内へ入れるのではなく、早目に入りたければそのまま並んで開くのを待つことになり、私も立ったままそこで待機。ただ空気ばね台車が間近で見られ、私はしゃがんでそれを撮る時間も多かった。
とにかく早く来て、11:00からというのも知らずに列に加わっていたのだが、車内案内終了後にどこに載っているかと訊いてそこで他の頁に載るのを知った次第。
待つ間に500円「みかんジュース」販売のアナウンス。数量限定販売、ただし飲むのは車内のみ、これって車内販売やん。私は購入しなかったが、こういう場所で営業列車の再現が為されるとは思っていなかった。
車内へ入れたのは10:50、ステップを上がって黄金の章入口から入れば、松山駅で見たような足踏み式消毒液射出器があった。中にはアテンダント2人が乗客・・・ではなく観覧客を迎え、私は営業列車では乗らなかった黄金の章車内へ。
運転台寄りの2人向かい合わせ席に座ったが、テーブルが大きく何か窮屈だったので、4人掛け通路側席へ移る。テーブルが折りたたんであって、2人席より体の前の空間が大きい。
テーブルには営業列車にもあった沿線案内・・・の縮小印刷版。いっぽうマットやメニュー、その他置き物は無し。腰掛には、これまた営業列車と同じくクッションがあって、私も乗車時同様に深く腰を掛けるべくそれを上の棚に上げようとしたが、考えたら営業列車ではないのでそのまま置いておく。
それにしても、この車内に入ったら「大洲編」「八幡浜編」乗車時と同じように動いてしまい、ということは私の頭の中は松山駅出発前モードになっているのだ。
私の前2席にも観覧者が座り、4人掛け中3席が埋まったが、残り1席には誰も来ず。見回せば満席近くではあったが48席しか整理券を配っていないので実際には空席少々、そういう車内状況で11:01発車、じゃなくてイベントスタート。
黄金の章ではダイニングバーアーチの向こう、多分カウンターのところにディスプレイを設け、それに動画を映し出す。ガイドは「伊予灘ものがたり」アテンダント。
映されるのは八幡浜編の車窓で、既視感ありまくり。ただ私の席はディスプレイから最も遠い位置で、目を凝らして見るとともにアテンダント案内にも耳を傾けた。
実際乗車の時では、時には窓の外をのぞき込み、時にはアイスクリームを食べ、よってアテンダントの台詞を聞き逃すこともあったのだが、今日は集中できる。なに、五郎駅の「たぬき」にはそんな話があったのか、等々。
近くでは参加者どうしでの「伊予灘~」乗車時の思い出話も聞こえて来て、そうして11:25に終了。これが車内案内イベントだったが、実際には「車内」にて沿線あるいは走行の「案内」であった。
本イベントは私には収穫が多く、それは営業列車では味わえないことがあったから。
先述の通り、乗っていたら私は車窓を眺め、沿線に手を振り、飲食する。いっぽう車内ではアテンダントが食事サービスそして車内販売で動くというように、それが観光列車ではあるのだけれど、乗車時は心が高揚し自分も含めて人が動く様が数多く見られる。
対して今日は、座って、動画を見て、アテンダントの話を傾聴。テーブルと周辺に置かれた物も少なくて、見栄えはシンプル。総じて、何と落ち着いた「伊予灘ものがたり」であることか。営業列車とは異なった体験が出来た、そんな思いである。
だがしかし、最後は人材の魅力だ。終了後は黄金の章に居た客から下車するのだが、その際アテンダントからステッカーを頂けた。僅かな時間のやり取りだったが、こういう人的サービスを受けられるのは私には大きい。こういうメンバーが来るからこそ、私は今日40数年ぶりに梅小路へ来たのだ。
さて車内サービスをも幾らか再現する地上イベントで似たようなものでは、ANAが駐機中のエアバスA380を用いて「機内で食事」「機内見学」というのを有料で催している。私は今日「伊予灘~」本イベントに参加したことから、鉄道でももっとこういうのをしてみてはどうかと漠然と思った。
いや、ANAはハワイ路線に今のところ飛ばせる状況ではないためという事由があり、走らせ易い国内の鉄道であればやはり営業運転へとなろうか。いやいや、現役を引退した車両を活用してなら・・・ここのすぐ外でも梅小路のC56が構内運転をやっているではないか。でもJR四国の場合、問題は2両のキロ47の置き場所が問題となり・・・。
降りた後で下から眺めていると、控室からJR四国キャラクターが出て来た。その後茜の章の前にアテンダントと並んで撮影会となって、わ、イベント列車運行時のような撮影光景が博物館内にて現出だ!いやいや、狭い空間ゆえにそう感じただけ。
車内案内イベントはこの後13:00・14:00・15:00の部があり、館内放送ではその催しがあると流れていた。それら参加者の様子を見ていると、始まった後から整理券を持ってやって来る家族連れもおり、皆が皆ディープな鉄道趣味者ではないと判る。また複数回にわたって参加する人もおり、そちらは深度が大きい趣味者であろうか。
さて私の参加は11:00の1回のみで、後は他の展示コーナーを回ったり。けれどもやっぱり「伊予灘~」の近くには居たくなるもので、これが最後の機会かもしれないから。見落としが無いようしげしげと展示・車体を眺めたが、営業運転中出来なかったことに「車体下部を見る」がある。
自身の「伊予灘~」評をぐんと高めたことには、寒地向けキハ47 500/1500番台が履く空気ばね台車があって、私自身はメカ音痴なのだけど、乗り心地を著しく高めるその台車には関心を抱いていた。
その外観は松山駅ホームからキハ54とキロ47を較べたらすぐに判る程なのだけど、今日は間近で見るチャンス。「TR227台車」「新潟鐵工所」の文字の高揚、これこそ「伊予灘~」のアイデンテティ?
そう、「伊予灘~」は47形の中でも稀少価値を有する車両を用い、そこへ人的サービスの良さが融合されるという、「近畿以西では稀に見る47形ディーゼルカーの充当列車」だったのである。
そんな私は、京都鉄道博物館常連の私より年長の方から「相当の趣味人」と見られたようで、1970年代の話題が続出。アテンダントを含む今日のJR四国メンバーのうち、生まれていた人の割合は如何ほどか。そのいっぽう私は15:30を回ってからのキャラクター&アテンダント撮影に再度臨み、硬軟混ぜた行動を取っていた。
16時台以降は私服に着替えたアテンダントがグッズ販売コーナーに加わって売り上げ・在庫チェックに当たり、私は腰掛に座ってその様子と車両を目に焼き付けるよう努めていた。何より、キロ47を見るのがこれが最後かもしれない!
だが考えてみたら、ラストラン以降でもこういう機会を得られた私は恵まれていると思った。
12月27日の、賑やかそうなラストラン出発式を行った八幡浜編、静かに松山駅に到着した道後編、それらを動画で見て終わるところだったのに、今日こうしてその続きを見られる・・・その感慨に浸れるのは、2回しかなかったけれど自分が「伊予灘~」乗客だったからである。
否、乗らずとも松山駅ホームで到着・出発を見るだけでも楽しいものがあったのだが、そういう感慨を持てた者ゆえ今日の催しには満足感を抱けるのであろう。