JR東海の315系投入に伴い、同社211系0番台は2022年3月リタイアという。

 自身が乗った回数は少ないため、私個人には新鮮味がまだある。けれども1986年11月デビューであり、もう35年になっていた。

 

 1985年に於ける関東・中京・近畿圏国鉄近郊形は、113・115・415・117系だったと思う。

 415系一部と117系を除いて、普通車は横置き・縦置きの腰掛が混じったセミクロスシート。クロス部分は4人掛けボックスシートで、1986年3月デビュー211系はこのアコモデーションを踏襲し、後の中京圏用も同様だった。

 

 2021年現在の近畿・中京圏で走る転換クロスシート装備の電車を見たら211系0番台は陳腐感漂う内装だが、1986年当時は117系を除けば「これが次代の近郊形」と思え、各地に広がってほしいと思ったものだ。

 

 明るい車内、そして座り心地が改められたシート。特にクロスシート背もたれは傾斜がつき、私には113系のそれとは大きな違いが感じられた。

 その車両が中京圏でも走り始め、同時期デビュー117系100番台とともに同地区の主流となっていく・・・と思った。そして関西線・阪和線快速にも来てくれと・・・この頃は転換クロスシートが後に主流になるとは思っていなかった。

 

 時が経ち、周りの多くが転換クロスシートという中に於いて残る211系0番台にはレア感が漂う。

 だがそれ以上に、私にはデビュー時の印象が今も残っており、たぶんこの車両を見たら頭は1986~1987年当時に還ると思われる。そしてその時は、221系や313系の存在は自分の頭から飛んでいるだろう。