日本の社会政策は昭和57年の福祉改革以来退潮の一途を辿っているといえよう。これはこの時期から革新勢力の退潮と期を一にしており、自民党は政権転落の危機感を失い票にならない社会政策を廃棄し、票田のために土建型福祉国家と会社主義経済へ移行した。この結果年金制度や医療保険制度は年金福祉事業団などを通じて、回収不可能な通常の金融機関が融資に二の足を踏むような産業へ、大蔵省資金運用部資金として投入して献金を得ていた。また、官僚は人口増加時で高齢者が僅少であるために、保険財政が莫大な黒字であった事から天下り先を大量に創って食いつぶした。現在赤字の原因は全て自民党を中心とする寄生階級がこの時を萌芽として営々と築き上げた為である。
日本の社会保険制度は極めて不備が多く不十分であると言えよう。その種類は五種類あり年金・医療・雇用・労災・介護になる。医療保険制度は船員保険から始まり対象をやがて拡大して現在に至る。種類は共済・厚生・国民となるが、このうち一番課題が山積しているのは国民健康保険であると言えよう。これは現在莫大な赤字を抱えているとともに、資格者証問題に代表される実質的に無保険者発生が喫緊の課題である。