DV冤罪やストーカー冤罪など、偽の被害を訴えるモラハラ人間 - 歪んだ心理空間における精神的被害 (hatenablog.com)
-------(以下、リンク先から本文転載)
1.モラハラ・DV加害者は被害者を悪者に仕立て上げる
モラハラ・DV加害者が、「被害者が悪い」という話にしてくることは、被害者の皆様はよくご存知だと思います。
彼らは被害者がどうしようもない人間で、自分がそれによって苦労させられている被害者だと主張し、周りの人たちにもそう思わせようとします。*1
2.追い詰められた被害者が加害者に手を上げる
前にも述べたように(被害者の頭が狂ってくるモラル・ハラスメント - 歪んだ心理空間における精神的被害)、さんざん傷つけられてきたモラハラ被害者が、加害者に挑発されて感情を爆発させたり、加害者に手を上げてしまったりすると、被害者の方が「精神や性格に問題のある人」にされてしまいます。
モラル・ハラスメントの加害者は自己愛的な性格であるだけに、相手の欠点を指摘したり、それによって相手に暴力をふるわせて、<自分はつまらない人間だ>と本人に思いこませることに喜びを覚える。相手が自分に誇りを持てない状態にするのが嬉しいのだ。そうして、たまりかねた相手が暴力をふるったり、酒に逃げたり、自殺をはかったりすると、性格に問題があるとか、ある中だとか、自殺願望が強いとかレッテルを貼る。(マリー=フランス・イルゴイエンヌ『モラル・ハラスメント――人を傷つけずにはいられない――』, 紀伊国屋書店, 1999年, p. 207)
加害者は誰か人のいる前で相手が怒りだすように仕向けることもある。そうすると、外部の人の眼には被害者が攻撃的な人間のように見えるのである。被害者が肉体的な暴力をふるった場合は、それを見ていたまわりの人間が警察に通報することもある。こうなったら、まさに加害者の思う壺だ。
・・・加害者の支配下におかれて、被害者のほうは次第に追いつめられていく。・・・被害者が自由を取り戻そうとする時には、思いきった暴力的な手段に訴えるしかない。だが、まわりの人間の眼にはそれが衝動的に見え、特にその暴力が激しかったりすると、被害者は精神異常者のように思われることもある。
・・・まわりの人間にはその被害者の状態が見えないのである。(イルゴイエンヌ, 前掲書, p. 206)
3.男性が「DV夫」だということで決着を付けられてしまう
特にモラハラ・DV被害に遭っている男性が妻に反撃してしまった場合、男性が「DV夫」だということで決着を付けられてしまう恐れがあります。
豊田正義著『DV(ドメスティック・バイオレンス)——殴らずにはいられない男たち』(光文社新書, 2001年)の中に、一つ怪しいケースが出てきます。第3章「俺は絶対に反省しない」の「DV夫」の男性は、パーソナリティ障害者と思われる妻からの支配に遭っているうちにストレスと怒りを抑えられなくなり、「DV夫」になってしまったと主張しています。
その男性は、取材しているジャーナリストに必死になって次のように訴えています。
加害者の従来のイメージは暴君タイプが主流だったけど、新しいカテゴリーとして、妻に支配されつづけた抑圧から逃れるためにキレるタイプに注目してほしい。豊田さん、ぜひ、そのタイプの加害者への理解を促してください。(前掲書, p. 122)
しかし、この男性はジャーナリストの目には、「反省がなく」「加害性が尋常でないDV夫」として映るようでした。大概のDV加害者は外面が良いのですが、この男性は自分が受けてきたストレスで完全に潰れてしまっており、自分を格好よく見せられる余裕などなく、自分が陥った惨状を訴えるのに必死です。
結果的に、少なくともイルゴイエンヌがモラハラのとりわけ恐ろしい被害として強調していたケースに当てはまる形になっています。
一方、妻である女性の方は、夫宛ての彼女の手紙を見ただけでも、確かに異様な人物です。それは極めてナルシスティックな手紙で、完璧に美化された自分を妙に高いところに置き、そうした自分の思いを夫に押し付けて夫をなじりながら、「大嫌いと言いたいくらい大好きなひとへ」といった操作的な言い回しで、相手を混乱させています。
一般に、モラハラを受けている人がヒステリックになると、被害者の方が精神異常に見えてしまい、第三者からも疎まれ、被害者はますます孤立し、自分自身でも自己イメージを低下させ、被害に遭う前とは実質的に別人にされます。イルゴイエンヌによれば、これがモラハラの最悪の被害です。*2
4.被害者の防御を自分に対する攻撃とみなすDV加害者たち
モラハラ加害者だけでなく、身体的暴力を振るうDV男性たちですら、被害女性が身を守るために反撃しようとすると、被害者を「暴力的だ」とみなして、そう主張する傾向があります。
私のDV加害者プログラムを受けた、身体的暴力を振るうエミールという男性がいました。彼は、妻に対して振るった暴力のうち一番ひどかったものについて次のように話しました。「ある日タニヤが度がすぎることを言ったんです。それで頭にきて首をつかんで壁に吊り上げてやりました」。そして怒りに燃えながらこう続けました。「そしたら僕の股にひざげりをくわせようとしやがったんです! 女にそんなことされたらどんな気持ちになるかわかるでしょう? そりゃもちろん感情的になりますよ。それで首から手を振りほどいたとき、彼女の顔に僕の爪が引っかかって長い切傷がついてしまったんです。あいつにはほんとにあきれますよ」
DV加害者の認識は強い特権意識に影響されているので、攻撃と自己防衛を逆にみてしまいます。タニヤは命に関わるようなエミールの攻撃から身を守ろうとしたのですが、エミールはその行動を自分に向けられた暴力だと受け取りました。そしてさらに彼女にケガをさせると、それは彼女からの暴力から身を守ろうとしてやったことだと主張しました。(ランディ・バンクロフト『DV・虐待加害者の実体を知る――あなた自身の人生を取り戻すためのガイド―—』, 明石書店, 2008年, p. 92)
被害者が手をあげるような反撃などしなくても、モラハラやDVの加害者たちは、相手を追い詰めておいて、相手が被害を防ごうとするだけで、それを自分に対する生意気な対抗や攻撃だとみなして憎悪を募らせます。
妻のマネハラを防ごうとして、妻に渡すお金の額を制限する場合も、妻は逆に、「経済的DVを受けている」という話にしようとします。
5.男性はこの手のモラハラ攻撃に対して不利
デートDV、モラハラのような精神的暴力、経済的暴力も含め、男性がDV被害に遭うこともあります。
DV支援のお仕事をされている専門家の中には、男性の被害者は存在しないかのように考えている方もいらっしゃいますが、男性の被害者たちは支援窓口に相談に来ないだけです。DVの支援窓口は、女性支援のための場所に見えているからです。
また、DVやモラハラは、意外と自覚しにくいところがあります。たとえば、夫が嫉妬妄想で暴れ狂う場合、妻はDV被害の相談に行くと思いますが、妻が嫉妬妄想で暴れ狂っても、夫は自分が「DVを受けている」という認識をもちにくいかもしれません。
身体的暴力を振るってくるDV女性に対して、被害者男性が身を守ろうとして抵抗すれば、男性の方が「DV」を疑われることになりかねませんし、まして反撃してしまったら、実際に「DV男だ」という話にされかねません。
下のブログを書かれている方も、児童相談所の面談で、奥さんからの暴力については聞く耳をもってもらえなかったようでした。本当に忍耐の要ることだと思います。
児童相談所 面談 夫婦: 妄想性障害の妻との生活 (seesaa.net)
6.近年増えているDV冤罪(でっちあげDV)被害
実は昔からありましたが、最近はネットで「DV冤罪」と検索すると、たくさん出てきますね。
必ずしも妻を「モラハラ加害者」とは呼べないかもしれませんが、相手を悪者に仕立て上げて社会的に打ちのめし、できるだけ多くの利益を独占しようとするやり方がモラハラ的と言っても良いような気がします。
DV冤罪でハメられた男、金も子も失い離婚の1年後に元妻は間男の子を出産していた | 男女問題専門家が解決!男と女「別れ」のトラブル | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
DV加害者にされた男性は名誉をどう回復したか | 災害・事件・裁判 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
こうした本も出ています。
文春オンラインで取り上げられていたこちらのケースも、本当に気の毒でなりません。どれほど無念だったかと思います。
《北海道・防衛省技官が“抗議の自殺”》妻の不貞、親権絶望で「持たないかも」…寝取った相手は自衛隊OBの市議(72) | 文春オンライン (bunshun.jp)
*1:「DV加害者は、まわりの人たちが、相手の女性ではなく自分に味方するよう、うまく仕向けてしまう」(ランディ・バンクロフト『DV・虐待加害者の実体を知る――あなた自身の人生を取り戻すためのガイド―—』, 明石書店, 2008年, p. 36)。
「残念ながら、DV加害者は、相手の女性は感情的すぎて自制ができない、判断力が弱くて守ってやらなければ彼女自身を傷つけてしまう、とまわりの人をうまく納得させてしまうことがよくあります」(バンクロフト, 前掲書, p. 84)。
*2:私はこれは「投影同一化」だと思っています。つまり、モラハラ被害者は、傍からも加害者が言うとおりに見える言動をとるようになるのです。