令和6年8月14日〔水〕【第2772号〔本年第240号〕】

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日経メディカル、吉良伸一郎記者まとめ

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本誌連動◇困った患者 2008 Vol.5

「見放されたと思い込ませない配慮を」

西村誠志氏(大阪大学医学部付属病院医事課課長補佐)に聞く

2008/10/22      吉良 伸一郎=日経メディカル

 

 医師に対する不満を、外来の受付窓口などでぶちまける患者も少なくない。阪大病院医事課で30年以上クレーム対応に当たってきた西村誠志氏は、「医師に見放された」という意識がベースにあるクレームが目立つと指摘する。
 

――阪大病院での最近のクレームの傾向は?

西村 特にここ数年、増加傾向が顕著で、私自身ほぼ毎日のように患者からのクレームを受けています。昔と比べて患者が我慢できなくなっていると感じます。

 また、自動受付システムや電子カルテなど情報システムの導入に伴ってクレームが増えてきたように思えます。対応が事務的になったと患者が感じて、それがクレームの引き金になっているようです。

――どんなクレームが多いのでしょうか。
 

西村 不安感、特に「医師から見放された」という感覚がベースにある事例が非常に多いと感じます。

 われわれが受けるクレームの中で、特に多いのが、「診療拒否された」というもの。実際は拒否などしていないのですが、患者が一方的にそう感じたというケースです。

 数年前、主治医に対する不満を私にぶつけてきた年配の男性患者から、毎日のように追いかけ回されたことがあります。梅雨時で、“凶器”となる傘を持っていたので、随分神経を使いました。患者の話を聞いてみると、主治医が90日処方をしたことに不満を持っていました。投薬の間隔が空いたことで「見放された」「適当に扱われた」と思い込んでしまったのです。

 

似たようなケースですが、主治医が「次回の来院は3カ月後でいい」と言ったことに不満を持ち、強硬なクレームを寄せてきた患者もいました。

――患者はなぜ、「見放された」と感じてしまうのでしょうか。

 

西村 医師からみれば、一人ひとりの患者は、数多くの患者の一人にすぎないわけですが、患者は病気で不安な状態に置かれたことで、自分一人だけが診てもらっているかのような錯覚に陥っている。だから、ちょっとしたことで「なぜもっと構ってくれないのか」と感じてしまうのだと思います。

 クレームの対象となった医師に話を聞いてみると、病状や処方内容などを一通り患者に説明しているケースが大半です。ただ、患者の不安を和らげるためのもう一言があれば、と感じることもあります。

 先の「90日処方」の例では、医師が「もう良くなってきたから、3カ月間同じ薬で大丈夫ですよ」と話していたら、クレームにならなかったかもしれない。「3カ月後再診」の事例では、クレームを受けて、当該科の外来医長が次の再診日の予約入力をしてあげたら、患者はそれだけで安心して帰っていきました。

 

私が患者からクレームを受けたことを医師に伝えると、「そっちで対処して」と言われることがありますが、患者は自分のことを構ってほしいと思っているので、「自分には関係ない」という医師の態度に非常に敏感です。クレームに対処している余裕がないのは分かりますが、医師がきちんと対応しないと患者はなかなか納得しないのが実情です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー転載、以上」

 

  16年前の私・・・↑ ・・・・なんだか、別人みたい。でも、何度も書いたトコロではあるが、「捨己従人」という太極拳の極意が、この現役の頃には大いに 役だった。