2017.9.28.Thu.
陳水扁政権下、「クリーンな台湾」を作るため公娼制度が廃止されて20年、今年7月25日、かつて公娼だった白蘭という女性が、かつての仕事場である文萌樓で亡くなりました。享年55歳。記事(中国語)
貧しい家庭に育った白蘭さんは、13歳で娼婦となり、23歳までの10年間、非合法な形で売春を強いられてきました。その後、自由の身となった白蘭さんが、自ら選んだ職業が公娼だったのです。1日に数人の接客をして後は市場に行き、魚を買って野良猫に与える、そんな生活が彼女にとっての平穏で幸せな日々だったようです。
公娼制度廃止、というのは一見女性たちにとって良いことのようですが、結局、行き場がない女性たちを更に過酷な状況に追い詰めてしまうことになったのです。
文萌樓の官姊さんは廃娼後も非合法な形で仕事を続け、次第に借金が嵩み、生きる希望を失って自ら命を絶ちました。
果敢に廃娼反対を訴え戦ってきた麗君さんも、鬼籍に入られて久しいです。
最初に白蘭さんの話を知った時、なんだか明治時代のことのように感じました。
でも、それはつい最近の出来事だったのです。
またある台湾人の友人は、日本人の私にあまりこういう台湾の恥部的なことを知って欲しくない、と言いました。
でもこれは、台湾が、日本が、というより、一人の女性である私が、「女性」の問題として、しっかり向き合わなければいけないことなのだろう、と考えています。
私が訪問した時いらしたボランティアの青年は日本語が堪能、おかげで色々詳しいお話を聞くことができました。
文萌樓のボランティア団体は家主との訴訟に敗訴、近くここを撤退しなければならないようです。
この場所がただの「おっしゃれーなカフェ」などになってしまい、かつてここにいた女性たちのことが忘れ去られてしまわないことを願っています。