写経屋の覚書-なのは「今回は大阪の住宅問題に戻るんだけど、大阪府公文書館所蔵の史料を見るね」

写経屋の覚書-フェイト「公文書館?そんなのがあるんだ」

写経屋の覚書-はやて「えーっと、天王寺から阪堺電車に乗って帝塚山三丁目で降りてすぐの所にあるんやね。ほんで、どんな史料を見るん?」

写経屋の覚書-なのは「大阪府会諸通知書綴の「昭和九年十一月~昭和十年八月(請求記号:B2-2006-10、簿冊登録番号:000031702)」の簿冊に収録されている、府会から知事への建議案を見るよ」

写経屋の覚書-建議案1_1
写経屋の覚書-建議案1_2

   建議案
 内鮮融和問題に関する意見書
府下に於ける内鮮融和の現状に鑑み速に之が根本的対策を樹立せらるゝと共に之が施設の拡充並創設に関し緊急実施を期せられむことを望む
   理由
  在阪朝鮮同胞は近時著しく増加し今やその数十五万余に達し内地在住総人員の四分の一を凌駕するの現状に在り而して其大多数は失業住宅問題等の為めに生活困窮を訴ふるのみならず生活容態の差異に依り種々紛擾を醸し彼此永久の偕和を阻害するの甚しきものあり今に於て之が百年の対策を樹立し速に其具現を期するに非ざれば悔を将来に貽すことなきを保し難し是れ本意見書を提出する所以なり
右府県制第四十四条に依り意見呈出候也
    昭和九年十二月  日
        大阪府会議長 辻阪信次郎
大阪府知事縣忍殿
右提出候也
    昭和九年十二月二十二日
     提出者 岡本彌蔵 毛谷村三次郎 木下常吉 末吉平三郎
     賛成者 熊本與市 井上良二 喜多淺治郎 丸橋林蔵 松永佛骨 小西池秀夫 白石梅太郎 岩国平次郎 川端政繁 金須文二 古藤増治郎 米田夘三郎 溝渕春次 髙木正明 山田銀太郎 名越民次郎 黒崎友次郎 淺野藤太郎 中塚種夫 土田伊右衛門 寺田兵蔵 原田長治 曽和義弌

写経屋の覚書-フェイト「府会から府知事に提出した意見書なんだね。内鮮融和って題名にあるけど、具体的な施策は書いてないんだね」

写経屋の覚書-はやて「ほんまやね。これだけやったら「生活困窮」や「生活容態の差異」からくる「種々紛擾」に対してどないするべきか分からへんよ。「失業住宅問題」を解決せなあかん、っていうんは分かるけど…」

写経屋の覚書-なのは「これと同じ1934年12月22日付でもう一つ建議案が提出されてるからそっちも見るよ」

写経屋の覚書-建議案2_1
写経屋の覚書-建議案2_2

   建議案
 鮮人保護の社会施設完成に関する意見書
目下大阪府下在住の鮮人に対し其日常生活を向上し之が保護誘掖速に資する為め急施すべき社会施設多々ありと雖も就中左記事項の如きは一日も忽諸に附すべからざるものなりと認む当局宜しく其実情に鑑み速に是等社会施設を完成し以て鮮人の向上融和の実現に努められんことを望む
   記
  一、鮮人に対する保護教導機関の設置
  二、簡易住宅の建設
  三、職業指導機関の設置
右府県制第四十四条に依り意見呈出候也
    昭和九年十二月  日
        大阪府会議長 辻阪信次郎
大阪府知事縣忍殿
右提出候也
    昭和九年十二月二十二日
     提出者 長谷了恵
     賛成者 小西楯雄 白井重治郎 小林寛治 有山福重郎 神谷勉 近森麒一 曽和義弌 廣瀬勝 田中藤作 金野太三郎 亀森一太郎 深美源吉 大川光三 熊本與市 井上良二 丸橋林蔵 岡本彌蔵 川端政繁 小西池秀夫 白石梅太郎 於勢升 原田長治 西村茂 乾正一 蒲田利郎 南治好 髙木伊佐吉 黒崎友次郎 淺野藤太郎 中塚種夫 山田銀太郎 土田伊右衛門 名越民次郎 髙木正明 溝渕春次 辻阪信次郎 礒村彌右衛門 古藤増治郎 押谷富三 亀井譲太郎 辻本善七 中田守雄 木村吉太郎 岩崎良三 土井松三 木下清一郎 市村兵次郎

写経屋の覚書-フェイト「こっちは住宅の建設、保護教導機関と職業指導機関の設置って具体案が明確に示されているね。はやての言った通り、失業・住宅問題の解決策の話だね」

写経屋の覚書-なのは「これらの陳情や建議案がどう処理されたかについては、議事録や予算決算書等から追っていくしかないから調査課題にするね。最後は「大阪府会諸通知書綴 昭和十二年十月~昭和十三年十一月(請求記号:B2-2006-13、簿冊登録番号:0000317026)」に綴じられている「鮮人住宅を建設して之が保護の徹底を期すると共に一面家主に対する紛糾を除却せられたし」だよ」

写経屋の覚書-はやて「えらいストレートな件名の史料やなw」

写経屋の覚書-なのは「前後に綴じられている史料から推測すると、どうやら昭和13年(1939年)8月26日から29日の間にまとめられた、府議への陳情書の一つっぽいんだけどね、件名どおり大阪府下在住朝鮮人の住宅事情についての話なの」

写経屋の覚書-陳情カ

一、鮮人住宅を建設して之が保護の徹底を期すると共に一面家主に対する紛糾を除却せられたし
      理由
近時鮮人に対する警察の保護取締は漸く進歩せるを認むるも未た尚鉄道沿線に豚小屋的陋屋を築造して国辱を曝し或は亦不法占拠詐欺的借家を為し対家主の紛糾其の後を絶たさるは遺憾とする処なり此の弊風を杜絶するは府営住宅の築造に若かすと信す此の際一大英断を以て之か施設を為し鮮人に対する保護と取締の徹底を期するを可とす

写経屋の覚書-フェイト「この時期でもまだ不法占拠や詐欺はあったんだね」

写経屋の覚書-はやて「やっぱり、行政で府営住宅を増設して入居させるしかあらへんねんなぁ」

写経屋の覚書-なのは「まぁ、直接的に被害を蒙ったり迷惑している地域の住民の陳情だろうし、多少オーバーに言っているのかもしれないけどね。じゃ、今回はここまでにするね」

大阪に於ける朝鮮人問題(1)  大阪に於ける朝鮮人問題(2)  大阪に於ける朝鮮人問題(3)
大阪に於ける朝鮮人問題(4)  大阪に於ける朝鮮人問題(5)  大阪に於ける朝鮮人問題(6)
大阪に於ける朝鮮人問題(7)  大阪に於ける朝鮮人問題(8)  大阪に於ける朝鮮人問題(9)
大阪に於ける朝鮮人問題(10) 大阪に於ける朝鮮人問題(11) 大阪に於ける朝鮮人問題(12)
大阪に於ける朝鮮人問題(13) 大阪に於ける朝鮮人問題(14) 大阪に於ける朝鮮人問題(15)
大阪に於ける朝鮮人問題(16) 大阪に於ける朝鮮人問題(17) 大阪に於ける朝鮮人問題(18)
大阪に於ける朝鮮人問題(19) 大阪に於ける朝鮮人問題(20)