写経屋の覚書-フェイト「やっと『朝鮮進駐軍』調査について一段落ついたけど、今回は何を見るの?」

写経屋の覚書-なのは「えっとね、今回はちょっと軽めにてし、朝鮮人移住対策の件(六)に出てくる『社還米』について見てみようと思うんだ」

写経屋の覚書-はやて「意訳したら、『息抜きっぽい感じで手抜きするでー』っつーわけやな」

写経屋の覚書-なのは「意訳しないで!内幕をばらさないで(泣)…さっそく朝鮮人移住対策の件(六)を見てみるよ」

さて今日は、10月16日のエントリーでちょっと触れた社還米制度についての解説部分。
アジア歴史資料センター『公文別録・内務省・大蔵省・陸軍省・海軍省・商工省・逓信省・大東亜省・昭和六年~昭和十八年・第一巻/朝鮮人移住対策ノ件(レファレンスコード:A03023591400)』の、32画像目からの部分ですね。

まぁ、社還米制度の詳しい解説は、同じくアジア歴史資料センターの『旧慣制度調査書-社還米制度(レファレンスコード:A06032005400)』の方を見て貰った方が良いと思いますが、取りあえずは『朝鮮人移住対策ノ件』の方で話を進めていきたいと思います。
では、32画像目から。

「社還米制度」に就て

朝鮮に於ける社還米制度は、李朝の初期支那より伝はりたる備荒救歉の施設として、官費又は部落民共同の費用を以て創められたるものにして、其の制度の概要は、里民凡そ100戸を以て1社とし、社民は毎年応分の穀物を醵出し、春季其の醵出穀物の半分の還付を受け、残り半分は社倉に貯蔵し、社内貧民に低利を以て貸付けたるものなるが、李太王31年(明治37年)本制度の鞏固を図り社還条例を発布せるも、往々不正官吏の私腹を肥す具となり効果挙らざりし処、偶々隆熙の政変に因り、本施設は中絶するに至れり。
然るに、元来朝鮮人は貯蓄心に乏しく、且小農の農家経済の疲弊は著しきものあり。
故に春窮期(2、3月頃より麦の収穫迄の食物不足期)に於ては、小農は已むなく地主より米麦を借入れ、収穫時に於て借入穀物1斗に対し1斗5升乃至2斗を支払ふ有様なるを以て益々困窮する状態に鑑み、朝鮮総督府は昭和8年度以来本制度を復活し、別紙要領により毎年46万石の貸付を為す計画なり。

(中略)

で、この制度を強固にするために社還条例が出されたものの、不正官吏の私腹を肥やす道具となっただけで効果が挙がらない。
そこへ、「隆熙の政変」によって社還制度は杜絶。
つうか、「隆熙の政変」って第三次日韓協約とかあの辺?
じゃあ、1909年(隆熙3年)4月の内部大臣及度支部大臣訓令号外『社還条例施行に関する件』とか、併合時の特別減免措置って何やねん、と。(笑)

で、元々朝鮮人は貯蓄心に乏しい上に、小農の農業経済疲弊は著しく、春窮期に地主から米や麦を借りる。
50~100%の利息。
高ぇ。(笑)

で、昭和8年にこの社還米制度を復活し、別紙のとおり毎年46万石の貸し付けを行う計画、と。
では、続いてその別紙要領を。


写経屋の覚書-はやて「社還米?作者が昔日本史で習った社倉や義倉とは関係あるん?」

写経屋の覚書-なのは「うん。どっちももともと古代中国の制度に由来するものみたいなんだけどね。『李朝の初期支那より伝はりたる備荒救歉の施設』ってあるしね」

写経屋の覚書-フェイト「『社還条例施行に関する件』は一旦措いといて…『併合時の特別減免措置』って何?」

写経屋の覚書-なのは「それはね、朝鮮人移住対策の件(一)を見るとわかるよ」

1909年(隆熙3年)4月になって、内部大臣及度支部大臣訓令号外として『社還条例施行に関する件』が出され、その後併合時の租税等の特別減免措置の中で社還米の返済は免除。
で、1917年(大正6年)10月1日に何故かこの社還条例が廃止された模様。
・・・で、その後が良く分からない。(笑)
『米穀自治管理法』ってのがあるんですが、これは1936年(昭和11年)の制定ですしねぇ・・・。
ま、ここも深入りせずに収めておきます。


写経屋の覚書-はやて「ん?やっぱし具体的にはどんな法令を指すんかわからへんで」

写経屋の覚書-なのは「あれ?あ、そっか。『併合時の租税等の特別減免措置』については以下の勅令が該当するの」

写経屋の覚書-官報19100829_02

明治43(1910)年8月29日付 官報第1号

朕惟ふに統治の大権に由り茲に始めて治化を朝鮮に施くは朕か蒼黎を綏撫し赤子を体卹するの意を昭示するより先なるはなし乃ち別に定むる所に依り朝鮮に於ける旧刑諸般の罪囚中情状の憫諒すへきものに対して特に大赦を行ひ積年の逋租及今年の租税は之を減免し以て朕か軫念する所を知悉せしむ

    御名御璽

     明治四十三年八月二十九日
         内閣総理大臣兼大蔵大臣 侯爵桂太郎
         陸軍大臣 子爵寺内正毅
         外務大臣 伯爵小村寿太郎
         海軍大臣 男爵斎藤実
         内務大臣 法学博士男爵 平田東助
         逓信大臣 男爵後藤新平
         文部大臣兼農商務大臣 小松原英太郎
         司法大臣 子爵岡部長職

写経屋の覚書-なのは「逋は逃げるという意味なの。租は租税のことだから『逋租』は滞納してる租税のことなの」

写経屋の覚書-フェイト「ってことは、その年の租税だけじゃなくて、ずっと滞納していた租税も減免されたの?」

写経屋の覚書-はやて「えらい大盤振る舞いやなぁ。3割4割当たり前!って話どころちゃうで」

写経屋の覚書-なのは「併合しての朝鮮の新しいスタートだからねぇ…大赦もやってるし」

写経屋の覚書-はやて「ま、それはそれとして、社還条例自体は併合後も存続したんやね」

写経屋の覚書-フェイト「機能していたとみていいのかな?」

写経屋の覚書-なのは「えーっとね、それについては次回にまわすことにして、今回はここまでにするね」