写経屋の覚書-なのは「さ、今回からは小ネタじゃなくて、創氏改名について連載いくよー!」

写経屋の覚書-フェイト「やっと連載物に戻るんだね。KJCLUBで投下したスレだと第12回から第15回のところだね」

写経屋の覚書-はやて「ほんでどこから見ていくん?スレのときとおんなしように創氏改名ってどんなもん?ってとこから見るん?」

写経屋の覚書-なのは「うん。復習も兼ねてそうするつもりなの。最初の参考エントリーはこれだよ」
朝鮮民事令第11条の第3回改正(五)

  附則第3項 前項の規定に依る届出を為さざるときは、本令施行の際に於ける戸主の姓を以て氏とす。
  但し、一家を創立したるに非ざる女戸主なるとき、又は戸主相続人分明ならざるときは、前男戸主の姓を以て氏とす。

  理由
  本項は、附属第2項に対する補充的規定なり。
  即ち、任意に氏を設けざる者あるときは、戸主の姓を以て氏を看做すこととしたり。
  蓋し、姓は氏と其の本質を異にすと雖も、氏に近き観念は姓なりと謂わざるべからざるを以てなり。

はい、そうですね。
これが俗に言う「法定創氏」の話です。

「姓」と「氏」はその本質は別だけど、「氏」に近い考え方は「姓」だといわざるを得ないからね、と。
これによって、氏を設ける、つまり「設定創氏」をしなかった者は、自動的に姓が氏になる「法定創氏」がされて、結果「創氏」は100%行われる形となるのは、ここに来てる読者の方には説明するまでも無いですね。(笑)


写経屋の覚書-なのは「基本的事項の『設定創氏』と『法定創氏』についての説明なの」

写経屋の覚書-フェイト「届出期間の1940年2月11日から8月10日のうちに氏の設定届を出して設定した氏が『設定創氏』で…」

写経屋の覚書-はやて「届出期間内に設定届を出さへんまま届出期間が終了してしもたら、自動的に戸主の姓を氏に採用するんが『法定創氏』ってことやねんな」

写経屋の覚書-なのは「そういうこと。但し設定創氏には制限というか禁止事項があったの。この参考エントリーを見てね」

朝鮮人の氏名に関する件

ってことで、今日の史料は『公文類聚・第六十三編・昭和十四年・第百一巻・司法二・非訟事件手続法・抵当・破産・登記~陸海軍刑法/朝鮮人ノ氏名ニ関スル件ヲ定ム(レファレンスコード:A02030161100)』。
では、早速。

  第1條 御歴代御諱又は御名は、之を氏又は名に用ふることを得ず。
  2 自己の姓以外の姓は、氏として之を用ふることを得ず。
  但し、一家創立の場合に於ては此の限に在らず。

  第2條 氏名は之を変更することを得ず。
  2 但し、正当の事由ある場合に於て、朝鮮総督の定むる所に依り許可を受けたるときは此の限に在らず。

  附則
  本令施行の期日は、朝鮮総督之を定む。

さて、これについても理由と説明が付いていますので、先にそっちを見ていきましょう。

  理由
  朝鮮人の氏設定に付制限を設け、且濫に之を変更することを禁ずる為、本令を制定するの必要あるに依る。

  説明
  朝鮮民事令の改正に依り、朝鮮人たる戸主又は其の法定代理人は氏を定むることを要する所、御歴代御諱又は御名を熟字の儘、氏として用ふることを禁ずるの必要あることは謂ふを俟たず。
  而して、名を定め又は氏名を変更する場合に於ても、前示の制限を設くるの必要あるは同様なり。
  是、第1条第1項を設けし所以なり。

  氏の設定に付他人の姓を用ふるが如きは、各家を区別すべき標示として適切ならず。
  是同第2項を必要とする所以なり。


(中略)

続いてが、第1条第2項。
自分の姓以外の姓は、一家創立の時以外は、氏として使っちゃ駄目よ、と。
この「自己の姓」は、氏の設定が戸主権に含まれ、それに基づいて戸主が一家の分を届け出るわけですから、戸主の姓でしょうね。
で、何度も言うとおり、姓は残るんですね。
その場合、他人の姓を氏とする事の弊害もあるでしょうし、みんなが名家の姓にしちゃう恐れすらあるわけで。(笑)


写経屋の覚書-フェイト「史料本文と獄長の解説で、他人の姓を氏にしちゃいけない理由はわかったんだけど、それじゃ朝鮮風の氏は自分の姓以外のものは使えないってことになるよね?」

写経屋の覚書-なのは「うん、そういうこと。もうちょっと見ていきたいけど、今回はここまでにするね」