【怪談】蝉手紙
なぁなぁ、あれ知ってる?
あの話。
最近話題になっている話。
変なメールが届いてから7日目で死ぬって話さ。
昨日、俺にもそのメールが来たんだけどね。
いや、信じちゃいないよ。
でも、ほら、気になるじゃん。
でね、ネットで調べてみたの。
いやぁ、もうネットではこのメールの話で持ちきりだよ。
掲示板とかスレが乱立しちゃっててさ。
中には、届いたけど死んでないよなんて書き込みがあるのよ。
こりゃあ俺は大丈夫だと思ったね。
このメールの話って江戸時代の話が元なんだってさ。
昔、日本中を行脚してる一人の坊主がいてね。
その坊主がある破れ寺に泊まったんだそうだ。
すると夜中なのに蝉の声がする。
夜蝉っていうらしいんだけど、坊主は気になって外に出てみた。
雑草が生え放題の中に一本の大樹があって、そこにビッシリと蝉がいる。
全ての蝉が夜だというのに鳴いてたそうだ。
坊主は気にも留めずに耳を塞いで寝たんだな、これが。
しかし、坊主は火事で目が覚めた。
自分の灯した燭台が倒れていたらしい。
火はみるみる広がって寺は全焼。
大量の蝉も大樹も焼けてしまったとのこと。
火に包まれた蝉が火の粉のように夜空を舞ったのだそうだ。
その坊主はその火事で盲目になったとか。
それで、その坊主は思い人が都に居たらしんだよね。
破戒僧とまでは行かないけど、坊主にしてはダメだよね。
失明した旨を手紙に書いて恋人に送ったんだけど、その人がその火事の日から7日で急死したんだって。
結局、坊主の手紙を見ることはなかったらしい。
その手紙が今でも残ってて、その文面を送ったメールが受信者の急死を招くんだって学者の間で噂になった。
文面は思い人を忘れられない坊主の心境が綴られていたんだ。
それが次第に広まっていったんだそうだ。
坊主は思いを亡き恋人に伝えるために、手紙の内容を黄泉へ届ける人を探しているんだってさ。
でも、俺の携帯に届いたメールで俺は死なねえよ。
でさ、このメールアドレス知ってる?
このアドから蝉メール来たんだよねー。
知らない。
俺はそう答えた。
いや、本当は知ってた。
なにせそのメールは俺がわざわざPCアドレスで送ったものだからだ。
でも、あいつが云々と喋っていた内容は知らない。
そんな話はネット上にも無かったのだが・・・。
後でメールを見せてもらうと変なURLが付いていた。
勝手に付いたものなのだろうか。
俺があいつを驚かそうかと思って話題の話を逆手にとってメールを送ったのだ。
一向に怖がってくれないのは非常に残念だった。
しかし、何時、あのメールを送ったっけ。
そこが思い出せず、家に帰ってからPCを確認することにした。
家に帰ると友達から電話が来た。
あいつが倒れた。
いきなり胸を押さえて苦しんんだらしい。
病院に運ばれたまま、意識不明だという。
何が起こっているかわからなかった。
あわてて、PCを起動して送信履歴を確認した。
1週間。
あいつに蝉メールを送ったのは丁度1週間前だった。
俺のメールであいつが死んだのか?
言いようも無い罪悪感と実際に起きた現象への恐怖でしばらく動けなかった。
迷惑メールフォルダに割り振られたメールが1通届いていた。
そのメールは知らないメールアドレスからだった。
恐る恐るメールを開く。
白紙だった。
何も書かれていない。
しかし、俺のメールの一週間後にあいつが倒れた。
俺のメールにはそんな効能はないはず。
あのURLは気になる。
しかも、あいつの話には変なところもある。
結局、大量の蝉はなんだったのか。
これでは蝉の怨念ではなく、坊主の怨念だ。
メールを受信したことが原因なのではなく、その由来を知ったことがマズイのではないか。
そう思った瞬間。
ベランダの方で何かが地面に落ちる音がした。
ジィジィ・・・・・・。
蝉のようだ。
そうか、蝉は盲目なんだ。
あの話。
最近話題になっている話。
変なメールが届いてから7日目で死ぬって話さ。
昨日、俺にもそのメールが来たんだけどね。
いや、信じちゃいないよ。
でも、ほら、気になるじゃん。
でね、ネットで調べてみたの。
いやぁ、もうネットではこのメールの話で持ちきりだよ。
掲示板とかスレが乱立しちゃっててさ。
中には、届いたけど死んでないよなんて書き込みがあるのよ。
こりゃあ俺は大丈夫だと思ったね。
このメールの話って江戸時代の話が元なんだってさ。
昔、日本中を行脚してる一人の坊主がいてね。
その坊主がある破れ寺に泊まったんだそうだ。
すると夜中なのに蝉の声がする。
夜蝉っていうらしいんだけど、坊主は気になって外に出てみた。
雑草が生え放題の中に一本の大樹があって、そこにビッシリと蝉がいる。
全ての蝉が夜だというのに鳴いてたそうだ。
坊主は気にも留めずに耳を塞いで寝たんだな、これが。
しかし、坊主は火事で目が覚めた。
自分の灯した燭台が倒れていたらしい。
火はみるみる広がって寺は全焼。
大量の蝉も大樹も焼けてしまったとのこと。
火に包まれた蝉が火の粉のように夜空を舞ったのだそうだ。
その坊主はその火事で盲目になったとか。
それで、その坊主は思い人が都に居たらしんだよね。
破戒僧とまでは行かないけど、坊主にしてはダメだよね。
失明した旨を手紙に書いて恋人に送ったんだけど、その人がその火事の日から7日で急死したんだって。
結局、坊主の手紙を見ることはなかったらしい。
その手紙が今でも残ってて、その文面を送ったメールが受信者の急死を招くんだって学者の間で噂になった。
文面は思い人を忘れられない坊主の心境が綴られていたんだ。
それが次第に広まっていったんだそうだ。
坊主は思いを亡き恋人に伝えるために、手紙の内容を黄泉へ届ける人を探しているんだってさ。
でも、俺の携帯に届いたメールで俺は死なねえよ。
でさ、このメールアドレス知ってる?
このアドから蝉メール来たんだよねー。
知らない。
俺はそう答えた。
いや、本当は知ってた。
なにせそのメールは俺がわざわざPCアドレスで送ったものだからだ。
でも、あいつが云々と喋っていた内容は知らない。
そんな話はネット上にも無かったのだが・・・。
後でメールを見せてもらうと変なURLが付いていた。
勝手に付いたものなのだろうか。
俺があいつを驚かそうかと思って話題の話を逆手にとってメールを送ったのだ。
一向に怖がってくれないのは非常に残念だった。
しかし、何時、あのメールを送ったっけ。
そこが思い出せず、家に帰ってからPCを確認することにした。
家に帰ると友達から電話が来た。
あいつが倒れた。
いきなり胸を押さえて苦しんんだらしい。
病院に運ばれたまま、意識不明だという。
何が起こっているかわからなかった。
あわてて、PCを起動して送信履歴を確認した。
1週間。
あいつに蝉メールを送ったのは丁度1週間前だった。
俺のメールであいつが死んだのか?
言いようも無い罪悪感と実際に起きた現象への恐怖でしばらく動けなかった。
迷惑メールフォルダに割り振られたメールが1通届いていた。
そのメールは知らないメールアドレスからだった。
恐る恐るメールを開く。
白紙だった。
何も書かれていない。
しかし、俺のメールの一週間後にあいつが倒れた。
俺のメールにはそんな効能はないはず。
あのURLは気になる。
しかも、あいつの話には変なところもある。
結局、大量の蝉はなんだったのか。
これでは蝉の怨念ではなく、坊主の怨念だ。
メールを受信したことが原因なのではなく、その由来を知ったことがマズイのではないか。
そう思った瞬間。
ベランダの方で何かが地面に落ちる音がした。
ジィジィ・・・・・・。
蝉のようだ。
そうか、蝉は盲目なんだ。

