かつて北京に出掛けた時、中国人の同僚が屋台で「鶏の足」を買って、歩きながら美味しそうに食べるのを見て驚いたことがあります。 どこの街へ行っても必ずと言っていいほど売られています。中国語では(ji1zhao3)と言うポピュラー料理、市場では山積みにして売られています。アジア圏では、韓国やベトナムでも日常的に食べているようですが、日本でまだお目に掛かったことがありません。何しろ鶏の足がそのまま出て来るのですから、グロテスクで日本では定着しないようです。

 この鶏の足は、胸肉やモモ肉とはまったく異なり、コラーゲンを多く含むゼラチン質でプルプルとした食感です。ビールのつまみに良く合います。

食糧難の貧しい時代、食材を無駄にしないため、18世紀ごろの広東省から全国に広まったようです。中国では、鶏足はコラーゲンが豊富で美容や健康に良いと言われ、女性もよく食べます。

 鶏足の調理法は多岐にわたり、湯通ししてから煮て、特製のタレに漬け込むのが一般的です。タレには、醤油、砂糖、唐辛子、にんにく、生姜などが使われ、甘辛い味が特徴です。その他、鶏足は蒸したり揚げたりすることもでき、各地域で独自の調理が施されています。この幅広い調理法が、鶏足をより魅力的な料理にしています。もちろん調理前に念入りに洗うことは言うまでもありません。

 鶏足の作り方はいろいろあります。いくつか紹介しましょう。

红烧鸡(鶏足の醤油煮)まず鶏足をきれいに洗い、爪を取り除き半分に切ります。 生臭さを消すために鶏足を湯通し、 その後、黒砂糖で鶏足を炒めて色を付けます。ビール、調味料、適量の水を加え、鶏足がやわらかくなるまで煮ます。

蒜香(ガーリック風味の鶏足)鶏足を湯通しし、ネギとタマネギを刻み調味料を加えてタレを作ります。 そのタレを鶏の爪にかけ、冷蔵庫で冷やしながら漬け込みます。

卤鸡(鶏肉の煮しめ):鶏足を湯通しした後、スパイスと調味料を用意します。鶏足と調味料を鍋に入れ、適量の湯を加えて煮ます。 鶏足がやわらかく風味が出るまで煮込んだら、ソースで煮詰めます。

柠檬酸辣无骨鸡爪(レモン風味の鶏足) 鶏足を茹で、骨を取り除きます。レモンサワー・チリソースを作り、 鶏足にかけ、レモンとその他の材料を加えてよく混ぜます。冷蔵庫に入れ漬け込みます。(写真:红烧鸡爪)