離合詞は会話で頻繁に出て来る用法です。でも中国語学習者にとって、離合詞は難解であり、その由来と役割について、今回説明したいと思います。用法については、詳しく解説されている参考書を参照下さい。ここでは割愛します。
►離合詞の由来
古代中国では、漢字一文字で意味を伝えていました。しかし新しい事象が増え、一文字ではニーズを満たせなくなり、辞書を引けば気付くように、一文字に多様な意味を持たせた結果、一文字の用法が複雑になり過ぎました。そのため二文字の連語にして、多様な言い方に対応しました。さらに会話でもっと複雑な意味を、短い言葉で効率的に伝えたいと離合詞が誕生しています。
►離合詞の定義
離合詞はその名が示す通り「引き離される合体した語句」を意味します。二文字(連語)の間に修飾成分を加えて引き離し、意味を拡張できる用法で、3400種あると言われています。
例えば见面(会う)を拡張すると、见过一次面(一度会ったことがある)、没见过面(会ったことがない)、见见面(ちょっと会う)、跟他见面(彼と会う)などと短い語句で意味を拡張できます。
※用例の下線の文字は、修飾する成分や目的語を示す。
►離合詞の分類
何万語もある連語から、離合詞を判断するルールは、残念ながら確立されていません。因みに中日辞書では、ピンイン表記に“//”(ダブルスラッシュ)で記して離合詞を区分しています。
結果論で言えば、結合した単語を切り離すことができれば、離合詞の可能性が高いです。実は中国の人たちも、離合詞と言う概念を持たぬまま普段会話しています。中国の言語研究(中国1940~95年)によれば、離合詞は以下の特徴があると述べ、動詞の後に続く品詞の4形態に分けています。
・形態【1】名詞 ⇒ 见面・生气・起床・毕业・理发・操心・做梦・点头
・形態【2】動/形 ⇒ 打工・留学・游泳・睡觉・洗澡・散步 / 帮忙・着凉
・形態【3】補語a ⇒ 听懂・达到・提高・打断・听见・抓紧
・形態【4】補語b ⇒ 回来・下去・分开・打开・起来
▼形態【1】動詞に名詞が続くタイプ〈動詞+名詞型〉
動詞に名詞が続くこのタイプは、離合詞として最も多いです。二番目の文字が単独、または他の語と結びつけて使えるかが判断基準になり、名詞は単独でも使えるので離合詞になります。
例えば 见面(会う)は、名詞の面(顔)は単独でも意味が通じ離合詞になります。この形態の離合詞は、以下の用例に示すように、間に数量詞や所有格代名詞を置くことができます。
〔用例〕见一次面、 生我的气、结两次婚、打了半天工、洗了两次澡、留过三年学
ところで比較例として 见解(見方)を挙げれば、動詞 の解(わかる)が単独では意味を成さず、離合詞となりません。
▼形態【2】動詞に動詞/形容詞が続くタイプ〈動詞+動/形容詞型〉
二文字の間に数量詞や量詞が置ける連語は、離合詞になります。以下に用例を示します。
〔用例〕打了半天工、洗了两次澡、留过三年学、结两次婚、帮我的忙(手伝って)
反対に次に挙げる語句は、間に数量詞などが置けないので、離合詞ではありません。
〔離合詞でない連語〕工作・失去・生产・出发・下次・可能・自觉
▼形態【3】動詞に結果/可能補語が続くタイプ〈動詞+可能/結果補語/助詞〉
二文字の間に可能補語の得/不、動態助詞の了/着/过を置けるタイプは離合詞となります。日本の参考書では、平易な取り回しにするため、離合詞を形態【1】と【2】に限定し、【3】は目的語が置けないと記述されている本も見られます。中国では、この形態【3】も離合詞に含めて、目的語が置けるとしています。目的語を置いた用例を示します。
〔用例〕达得到了目标(目標に達した)、提不高声量(声をひそめる)、见过面、游着泳
听不懂(聞いて分からない)、睡了七个小时觉
▼形態【4】動詞に方向補語が続くタイプ〈動詞+方向補語〉
方向補語の来/去がある語句も離合詞と認められます。後ろに目的語が置けます。
〔用例〕打不开箱子(箱を開けれない)、起不来(起き上がれない) ,
下楼去了(降りていった)
►結言
中国語の文法は、英語のような厳格なものでありません。英語のような明瞭な文法体系でないですが、慣用文型として成立するように文字の配置順に留意ください。
|