中国語入門者はピンイン学習から始めますが、ピンイン音節において「子音と母音を分けて発音」する発声について紹介しましょう。
►ピンインは子音と母音の結合
 中国語で日本語に近い発音としては 、[ai4][an1]などがありますが、その割合は3割と言われています。残る7割は日本語と異なり、日本語のカタカナでは発音できません。
 中国語は「子音+母音」が結合しています。「子音と母音を分けて発音」することが正確な発音に繋がります。例えば数字の[san1]は、日本語の「サン」でも十分通じますが、厳密には“s+an”、子音と複母音anが結合した音節です。まず口の形と舌の位置で子音sを発音し、母音anを繋げます。
►子音と母音を分けて発音
 理解し易い単語で説明すると中国人の姓の[cai4]はローマ字読み出来ません。無理矢理「カイ」と読む人は少ないでしょう。[cai4]”子音c+複母音ai”で構成されています。子音cは「舌歯音」、上下の歯を軽く噛み合わせた歯の隙間に舌先を近付けて、日本語の「ッ」を摩擦させる発音です。続けて複母音ai「ァィ」を発音、両者繋げて[cai4]「ツ・ァィ↓」と発音します。このように子音と母音を神経質に意識して分けて発音します。
►日本語訛りの中国語はカタカナ発音が原因
 中国の友人は、私の日本語訛りの中国語を聞くと思わず顔をしかめます。
 日本語と中国語の発声方法は、基本的に異なっています。日本のひらがなは、子音と母音に分解して教えることはできません。日本語のひらがなの「か」(ka),「た」(ta)「さ」(sa)の発音では、前の子音”k,t,s”は発声と同時に一瞬で消えて、後の母音”a”の方が強くはっきり残ります。
 中国語の場合、中国の小学校では漢字の一文字ずつ、子音と母音に分解して発音を教えます。中国語の発声は、前の子音をゆっくりはっきり言い、後はその子音に合った母音を続けて発音します。「か,た,さ」を中国式に発音すれば、ka(か)「クァ」ta(た)「ツァ」sa(さ)「スァ」の発声になります。この点が日本語と中国語の発声の基本的に異なる点です。

 挨拶の你好[ni3hao3][hao3]を例に挙げると“ h ”は舌の後方を持ち上げて喉の奥から「ハー」“ao”「アオ」を繋げて「ハァォ」となり、カタカナ読みの「ハオ」ではありません。
►ただいま練習中の[zhe4]の発音は超難しく
 [zhe4]“zh+e”の「子音+母音」は、zhはそり舌の先を上あごに軽く付け隙間から「ヂ」と発音し、e「ェ」の口の形で「ウ‐ァ」、両者を繋げて「ヂゥ‐ァ」と発音します。zheのどちらも日本語にない発音でとても難しいです。まず発音の近い同音異議語から練習しましょう。
  ・[zhou1]は、  そり舌のzh「ヂ」に  ou「オゥ」  を繋げて  zhou「ヂォゥ」と発音
  ・[zhen1]は、  そり舌のzh「ヂ」に  en「エン」  を繋げて  zhen「ヂェン」と発音
  ・[zhong1]は、そり舌のzh「ヂ」に  ong「オン」 を繋げて  zhong「ヂォン」と発音
 上記の流れで这[zhe4]:そり舌のzh「ヂ」に  e「ゥ‐ァ」を繋げて   zhe「ヂゥ‐ァ」 ですが・・・できたでしょうか?
►音節表とインターネットを利用した学習
 中国語音節表はピンインの音節を一つずつ確認でき便利です。縦行の子音を口の形・舌の位置・息の吐き方をマスターします。横行の母音は日本語にない発音もあり、これも一つずつマスターします。21個の子音と36個の母音の組合せで、約400通りの発音を全て覚えます。近年は、インターネットによるeラーニング教材も充実していますので、10年前と比べ格段に学習し易くなっています。ピンイン音節の一つずつを音声と視覚で確認して、丁寧に一つずつ覚えていくしか近道はありません。