動詞のを使うことが多いですが、は色んな使い方がある悩ましい単語の一つです。身近な使い方として、乒乓球(卓球をする)、招呼(挨拶をする)変わったところで铅笔(1ダースの鉛筆)などは、それぞれの関連付はないですが無意識に覚えていると思います。面白いことに日本語での語源の由来を利用した造語があり、日常使われています。打ち合せ(打楽器を打って合わせる)、打ち消す打ち込む打算的など、これらの造語は中国語にはありません。中国語のは、叩くと言う語源を持つ象形文字です。

 篆書体では左辺のは片手で叩く動作を表し、右辺のは釘の形、つまり釘を外力で物体に突き刺すことを示しています。元々の意味合いから来る(杭を打つ)、(太鼓を叩く)、(火打ち石で火を起こす)、(注射をする)などは、叩くや突き刺すと言う語源の意味に沿っているので覚え易い言葉です。手の動作から派生した言葉が他にもたくさんあります。電子辞書は語源に由来する用途の説明に乏しく、中国情報ネットで単語の本来の形や意味から、派生する使い方を調査してみました。
一番目の使い方:スポーツはで表現することが多いです。网球篮球排球太极拳棒球などは良く知られています。を使わないスポーツもあります。それは手を使わないサッカーで、足球[ti1zu2qiu2]と言います。手を使う動作について、を用いると考えれば覚え易いです。他にも毛衣(セーターを編む)、(開ける)、(コピー)、雨伞(傘を差す)、灯笼(ちょうちんを掲げる)、打车(注1)(タクシーを拾う)などは、手を使う動作から派生しています。その他には(掃除する)、(包装する)、(魚を捕る)、(水を汲む)、游戏(ゲームをする)などの動作も手の動作によってもたらされています。成程と思わせるのは、苹果(リンゴをむく)、咖啡(コーヒーを入れる)などです。
 の使い方の難しい点は、手を使わないアクションにもが使用されることです。中国語学習者にとって、悩ましい点を以下に紹介します。
二番目の使い方:使い方が[zuo4]に近く短期間に具体的なアクションを示したい場合。例え

      ば、(喧嘩する)、(アルバイトをする)、(着飾る)、(じろじろ見る)

      (する積りである)などがあります。
三番目の使い方:努力や労働で獲得する活動の場合。(切符を買う)、(値引きする)、

  打(問い合わせする)などがあります。
四番目の使い方:自然界の現象や人々の行動が外に向かって発出する場合。(雷が鳴る)、

  打(稲光がする)、打了(茶碗が割れた)、电话(電話を掛ける)などです。日本語で

     もかつて「電報をつ」との言い方がありました。
五番目の使い方:人から発せられた特定の行動。喷嚏(くしゃみをする)、盹儿(居眠りをす

  る)、(邪魔をする)などがあります。
 上記で挙げた単語は元来 手でするある種の動作であったものと推察されます。例えばは手で折る動作の意味から、長い商品を折って短くすることで値引くと言う意味合いになったと考えられ、打算も計算用具の(長方形の小さい木片)と手でするある動作を結び付けたと想像できます。
 これまで述べたように打の日本語の意味からは、想像できない色んな用法がまだ沢山あります。すべてを丸暗記する必要はありませんが、語源から来る由来に基づく使い方を知っておくと覚え易いでしょう。(注1)打车は手を振る行動から派生しています。
(写真左:陕西省郑州市小学校での販売実習、写真右:小学一年生の感想文)