今年の清明节[qing1ming2jie2]は4月5日でした。この日は祭日で企業や官公庁はお休みとなります。清明节とは墓参りの日、故人やご先祖を敬う気持ちは中国も日本も変わりません。
  中国語で墓参りは扫墓[sao3mu4]と言い、漢字では墓を掃き清めると表しています。都市部では、郊外に公墓と呼ばれる共同墓地が整備されていますが、まだ公墓が整備されていない農村部では、まだまだ畑の一角に葬られるところが多く、高速道路を走ると畑に丸い盛り土が目に付きます。4月5日の夕暮れ時、河北省保定市の交差点では、いくつものお焚き上げの炎が目に付きます。亡くなった家族や祖先があの世でお金に困らないように、お金に似せて作った「紙銭」を燃やします。近年、大気汚染防止のため花火やバーベキューなどは禁止されましたが、この「紙銭」のお焚き上げは規制されていません。交差点のような十字路でお焚き上げを行う理由は、十字路は東西南北に通じ、どの方向からでも来ることができ、この世とあの世が交わる場所とされています。
 またこの日は多くの人が墓参りに訪れます。墓掃除をして花やお菓子、故人が好きだったお酒などを供えます。お参りする時、日本では墓前で手を合わせますが、中国では手は合わせず深々とおじぎを3回します。ひざまずいて額を地に付け3回拝礼するのも一般的なお参りのやり方です。
 実は清明节が制定されたのはまだ最近のことです。以前の当レポートで中国では1966~1976年の10年間に亘る「文化大革命」で伝統文化や文化財が破壊され、更には社会規範と行動様式、人々の道徳・倫理観も変えてしまったと述べました。この時期に清明节も祭日でなくなってしまいました。2007年に再び国定祭日に制定され、今では大切な節句として扱われています。

(写真左:十字路で紙銭を燃やす、写真右:屋台で売られている紙銭)