“新年新春兔來報,金兔銀兔福兔到,兔年發財樂逍遙!“
 今年の春節は1月22日(日)です。中国には日本と同じような「おせち料理」があります。それは“八大碗”と言う伝統的なお祝い料理です。“清朝”時代に経済が栄え飲食市場も空前の発展を遂げ、春節や婚礼など慶事に食する伝統的な民間料理として“八大碗”が広く普及し、今日も継承されています。“河北省石家庄正定县”“八大碗”が特に有名で千年以上の歴史を持ち、河北省の無形文化財に指定されています。“八大碗”専門のレストランも数店営業しています。
 “八大碗”は4種の野菜料理(四菜)と4種の肉料理(四肉)を基本とします。四菜は大根・昆布・春雨・豆腐を主に他30種の材料を用います。四肉は”扣肘"(豚の肘の煮込み)、“酥肉"(豚肉のから揚げ)、“肉丸子"(肉団子)、“方肉"(豚の角煮)など豚肉を主とした肉料理です。地域によって使う材料も異なり、他に海老・魚・ジャガ芋・白菜を使う所もあります。天津市の“八大碗”は、豚肉・団子・鶏肉・魚・麺・塩海老・豆腐・豆腐卵・野菜などの材料を用いて作ります。肉は真っすぐに切る、野菜も厚さを均等に切るといった細かな決まりがあります。野菜の4皿は碗に入れて蒸すだけで良いですが、肉の4皿は、油に通したり、蒸したり、煮込んだりして作ります。その調理法には“扒"(ba1)・"焖"(men4)・"酱"(jiang4)・"烧"(kao3)・"炖"(dun4)・"炒"(chao3)・"蒸"(zheng1)・"熘"(liu1)など8種類です。日本料理は、生・煮る・とろ火・焼く・揚げる及び蒸すなど食材の風味を残して、どちらかと言うとあっさり仕上げて、食材の形と色の盛り付けに気を使います。中国料理は煮る・炒める・揚げる・蒸すなどして時間を掛けて作り、濃くておいしい旨味を出します。
 中国語で“八珍”と言う食用語があります。八種類の珍味を指し豪華な料理の意味です。日本でも琵琶湖の珍しい8つの魚介類を「琵琶湖八珍」呼んでいます。中国の“八珍”“上八珍・中八珍・下八珍”の3ランクに分かれて“八大碗”は“下八珍”に該当します。1920年代の北京市“上八珍”の食材を挙げると「ヘラ鹿の頭・燕の巣・ラクダのコブ・熊の掌・ヤマブシ茸・豹の子・鹿の筋・雪カエル」などですが、今では野生動物保護の観点から入手できない物があります。東北地方で歓迎の宴席に招かれた時に、黒いカエルの料理を出されて目が点になったことがあります。このカエルは冬の厳寒の頃、山間の谷の氷を割ってその下に隠れている“雪蛤”(雪カエル)を網で掬って捕まえたものです。このカエルの油は高級化粧品の原料ともなり、また貴重な食材として高価格で取引されています。因みに一般的な「フカヒレ、アワビ」は“中八珍”、「ナマコ、川筍」は“下八珍”に属します。
 近年、ナマコの密漁が頻繁に報道されています。日本ではナマコは酢の物にする程度でそれほど消費量が多くないですが、中国では高級食材として非常に高値で販売されています。北海道産の乾燥ナマコで高いものなら、何と100gが2,600元(49,400円;@19円/元)で売られており、和牛より遥かに高いです。ナマコの乾燥品を水で戻して煮込み、柔らかくモチモチした歯ごたえにします。ナマコの歴史は古くAC200年代には食されていたようです。今でも“海珍(干しなまこ)”、“鱼翅(フカヒレ)”、“燕窝(ツバメの巣)”、“干鲍(干しアワビ)”は高級食材として認知され、もし宴席に招待されてどれか一品でも出されたら、最高のおもてなしと考えて良いでしょう。ナマコの中国語は“海参”(hai3shen1)の効能が「朝鮮人参」に匹敵するとされ「海の朝鮮人参」“海参”と名付けられました。
 一説によると「ガン」に効果があると言われています。筆者も食したことがありますが、ナマコ自体に味はないのですが、色んな味を凝縮しトロミを付け旨味豊かなスープで煮込み、日本料理にはない深い味わいを出しています。 縁起の良い八を重ねるため、八角のテーブル毎に8人が座り、八つの丼に盛られた八種の料理、八種の食材と八種の調理法など八を重ねてお目出たさを強調します。
     (写真左:八大碗2023年テークアウト品〈保定電谷酒店販売〉、写真右:ナマコの料理)