師走に入りお酒を飲む機会が増えて来ました。

中国ではお酒を飲む時、特に注意が必要なことがあります。宴会では自分が酒を飲むか飲まないかを、態度をはっきりしておかなければなりません。中日におけるお酒の乾杯の考え方においては、文化面で大きな違いがあります。今日は体調が良くないから、ビール1、2杯程度で済ませようと考えるのは失礼です。飲まないなら最初から一口も口にしないと、はっきりさせておくことがマナー上の基本です。中国の乾杯は人間関係上の重要な礼儀ですので、途中で飲めないと辞退するのは大変失礼に当たります。

 中国の酒はアルコール度数が52度の高い酒もあります。中国人はそれを何度も乾杯を重ねて飲み干し、それを見て酒が強いのだと感心します。しかし中国人も日本人も、遺伝子学的には欧米人に比べて酒に弱いとされています。実のところ中国人は日本人よりもっと酒に弱いのです。中国人は酔っ払った姿を見せるとだらしないと見做されるので、特に自己管理しています。飲み過ぎて気分が悪くなり、トイレで吐いてまた何事も無かったかのよう席に戻り、飲み続ける人さえいます。米国と中国の人達と何度か宴会しました。概して米国人は酒に相当強く度数の高い酒を飲んでも平気で想像を上回ります。米国の西部劇の場面で、ウイスキーをラッパ飲みするシーンを見たことがありますが、このように大変強いのです。

 ある報道機関の調査によるとお酒に弱い人の割合は、欧米人0%・韓国人30%・日本人44%・中国人52%だという数値が出ています。元々アジア人も欧米人のようにお酒が強かったのですが、7000年前に稲作が広まった時点で、アセトアルデヒドを分解する遺伝子が突然変異し、酒が弱くなるように進化したのだと言われています。古代に中国から多くの渡来人が日本へ移住し、日本人もお酒が弱い人が多くなりました。最近の報道では、若い人たちは酒を飲まなくなったと言われています。科学的にはアルコールを分解しない遺伝子が出現し、飲みたくても飲めない人が増えています。人間の体内の遺伝子は、対比する遺伝子の一つを優性として選択します。飲める遺伝子と飲めない遺伝子があれば、人類は飲めない遺伝子を選択しました。どうやら人は酒が飲めない方向へ進化しているようです。お酒飲みは変わった人種になりつつあります(泣)。

 その遺伝子が弱い地域と稲作の広まった地域が一致していることも判明しています。中国南部(上海以南)の人は稲作が盛んで、アセトアルデヒドを分解する酵素を持たず、お酒に弱い人が多いです。度数の高い“白酒”を好まず、“紹興酒“を好みます。このため渡来人が多い西日本の人はお酒に弱いです。また稲作が広まっていなかった中国の瀋陽市、長春市やハルピン市など東北地方の人は、度数の高い”白酒“を好み大変酒に強いです。遺伝子が突然変異した時期は、7000年前の稲作の普及した頃のようですが、なぜ変異したのか理由は分かっていません。筆者の勝手な想像ですが、米の収穫が増えるに伴い、「飲んべいをこれ以上増やすのは危険ダー!」と判定されたと想像します(泣)。

       (写真左:保定秀蘭飯店宴会場、写真右:宴会の海鮮料理)