大阪でもようやく秋風が吹くようになってきました。中国の長江流域では、今年の夏は猛暑と水不足に見舞われ甚大な被害が出ています。“中央电视台”13chの報道によると、今年の梅雨は短く高温の日が続き、河南,山西,甘肃,山东省では広域で大規模な干ばつが発生しました。例年、これらの地域は梅雨時の豪雨により各地で洪水、浸水などの被害が出ますが、今年は一転全く雨が降らない干ばつに襲われています。長江はチベット高原から上海市の東シナ海へ注ぎ、途中に山峡ダムを擁する全長6300kmの世界第3位の大河です。流域面積は何と180万k㎡、分かり易く言えば正方形の一辺が1,340kmに相当する広大な面積になります。7月から長江流域の降水量は、地域に応じて40~80%減、平均50%減少しました。この影響で湖や川が干上がり、重慶市では古代の仏像が川底から現れたり、江西省では普段は湖の中にある寺院を干上がった湖底を歩いて訪ねたりしています。

 深刻な干ばつ地域は、河南省の平顶山、河北省の廊坊市,保定市,唐山市,西安市に集中しており、被害地域は国家面積の半分を占めます。長江流域の重慶市では気温が40℃を越える60年振りの記録的猛暑となり、大規模な山火事が数カ所で発生、街の高層ビル越しに赤々と燃えている山々がテレビ画面に映し出されました。1500人以上が避難する騒ぎになっています。

 四川省では農作物の被害以外に、水力発電所の水位低下に伴い発電能力が制限されています。電力不足により工場操業停止が相次ぎ深刻な問題になっています。四川省は日系の自動車メーカー関連が多く進出していますが、操業停止を余儀なくされ、部品調達に支障が発生、車の納期遅延に影響していることは日本でも報道されています。省都の成都市ではネオンや街灯の消灯、地下鉄の照明の間引き、エスカレーターも停止されました。気温40℃を越える重慶市では多くの市民が涼を求めてクーラーの効いた地下鉄駅で過ごしています。中国では人が集まると直ぐにポーカーゲームが始まります。駅のあちこちで車座になって市民が楽しんでいます。市内では新型コロナウイルスがまだ蔓延していますが、やはり暑いので殆どの人がマスクを外しています。

 筆者が滞在した保定市は河北新聞によると、40年振りに干ばつが発生しました。農地186万亩の95%が干ばつの被害を受け、5万人が飲料水不足、水不足で8000頭の家畜が死亡した模様です。畑のトウモロコシの背丈は例年2m以上に育ちますが、今年は1mにしか育たず実も小さく落花生の実入りも悪く売り物になりません。インターネット上で「干ばつは太陽光発電のせいだ」と根拠のないデマを流布する者が出て来ました。公安当局はインターネット上の情報は真実と誤りの両方があり、盲目的に信用しないようにと注意を促しています。(出典:8月25日放映のCCTV13chより-畑の作物が全滅-)