中国では日本であまりお目に掛らない野菜が色々あります。その中でも印象に残る野菜は、パクチー」です。中国語では香菜(xiang1cai4)と言い原産国は地中海沿岸の国のようです。今では日本でもパクチーブームが起きているようですが、パクチーの特徴として香菜と言う名が示す通り、何と言ってもあの独特の香りです。あの香りで好き嫌いが分かれると思います。私が最初に食べた時は「ドクダミ草」のような香りで思わず顔が歪みました。別名「カメムシソウ」とも言うらしいです。それほど好きでもなかったのですが、今はあの臭いも気にならなくなりました。

 日本では刻んだネギをラーメンに入れたり、みそ汁に入れたりします。中国でも香菜も火鍋などの薬味として使うことが一般的です。しゃぶしゃぶのタレとして、色んな香辛料をミックスしたゴマダレに刻んだパクチーをふんだんに盛り、羊肉を漬けて食べると最高に美味しいです。中国ホテルの朝食では、パクチー100%のサラダも出ます。

生では少し抵抗がある方には、香菜炒蛋”(香菜の卵とじ炒め)を紹介しましょう。使う材料は、香菜、卵 、味付けとして塩、油、胡椒、調味料、みりんなどです。香菜をきれいに洗い根を残し、みじん切りにしておきます。 卵をほぐし、適量の塩、みりん胡椒、調味料を入れてよくかき混ぜます。細かく切った香菜と卵、少し水を加えてさらに混ぜます。 フライパンに適量の油を入れ、熱したら先ほどのかき混ぜた卵を入れて焼きます。ひっくり返しても焼き、卵が固まり状に固まってくれば出来上がりです。 卵に火が通ればすぐ火を止め、香菜は生を保つのがポイントです。決して長く炒めないでください。

 もう一つ香菜を使った中国のサラダ“香菜拌牛肉”(香菜と牛肉のマリネ)を紹介しましょう。中国では夏に合う“凉菜”(前菜)として一般的な料理です。暑い時期に、スパイスの効いた牛肉と香菜の香りで口の中に爽快になり家族には好評と思います。まず牛肉を薄くスライスし、ワイン・オイスターソース・澱粉・食塩他で30分ぐらい漬け込みます。次に香菜の束をぶつ切り、刻んだニンニク・生姜・唐辛子もみじん切りにカットしておきます。鍋に十分に油を入れ、漬け込んだ牛肉を炒めます。火を止めてから先ほどカットしておいた材料他を入れて余熱でよく混ぜ合わせます。牛肉の旨さとピリッとした辛さ、そして香菜のアクセント感が効いて暑気払いにピッタリのマリネです。筆者は何度も食べても飽きることはありませんでした。簡単ですから皆さんも是非お試し下さい。

(写真左;香菜だけのサラダ、写真中;香菜炒蛋、写真右:香菜拌牛肉)