はっ、、、、は、、、、はっ、、、、
よかった・・・・
大きな人になれたんだ。
震える手を握って、広げて、荒い呼吸を整えられるように、胸に手を置いた。
大きく上下する胸に、首からぶら下がってるペンダント。
指先で触りながら、もう少し・・・もう少しオレに時間を・・・、と願う。
でも わかる。
オレの体はもたない。
もっと、もっと・・・・パパといたかったな。
もっと、もっと・・・・ずっと一緒にいたかった。
パパの笑った顔を見て、声を聞いて、隣にいたかった。
眠ってるパパの顔を見ながら、乾いた涙の痕が可哀想で そっと撫でた。
パパ、泣いちゃダメだよ。
パパには笑顔が似合うよ。
柔らかい頬を撫でていたら、パパが ガバッと体を起こした。
「ミッキー・・・ミッキー!」
オレの手をギュっと握り、顔を覗き込んでくる。
その瞳には 見る間に涙の膜が膨れ上がってくる。
「ミッキー・・・っ・・・みっきぃ・・」
「ジュンス・・・泣かないで・・」
「・・っ・・・・みっ・・きぃ・・・・」
柔らかい頬に行く筋も涙が伝って、顎からポタポタと滴になって落ちている。
なのに目はオレをしっかりと見つめてくる。
そうだ。
パパは強い人だ。
大丈夫・・・
オレのパパは、優しくて 深い愛情をくれる 強い人だ。
オレがいなくなっても、パパは・・・きっと大丈夫だ。
そう思うと 少し楽になれた気がした。
「ジュンス・・・オレに、会いたかった?」
「っ、、、んっ・・・・っ・・・ぅんっ、、」
何度も頷くパパを見て、大きな人の姿になれてよかったと、、そう思った。
「ごめんね、オレ・・・」
「んんっ、、、ミッキー・・は、なにもっ、、悪くないよ・・・」
「ジュンスに 心配かけてる」
「そんなことない。ミッキー・・・どこか痛い?」
「・・・オレ、、ジュンス・・に・・・・ありがとうって・・・・」
「バカ!なに、、、何 言ってんだよ・・・」
「・・・・・」
「ミッキー、疲れるだろ?もう、ウサギに戻れよ。
元気になってから、人の姿になれよ。
な?
な?・・・お願いだからっ・・・・これ・・以上・・・っ、、、」
パパがオレの手にキスを落とす。
パパの柔らかい唇から 想いが伝わってくるような、そんなキス。
「ジュンス・・・ここにもして・・」
唇を突き出すと、涙をゴシゴシと袖で拭いて、そっと キスをしてくれた。
パパの唇は 温かくて、優しくて、そして・・・少し涙の味がした。
「ジュンス・・すき。だいすき・・」
こんな最後になっても 湧いてくるのは、パパがスキだという気持ち。
「ミッキー・・・愛してる。お前を 愛してる」
ポロポロと涙を流すパパの口から出た言葉。
『 愛してる 』
、、、、あぁ・・・・パパ・・・・・
もう、、、十分だって思ったのに。
最後なんだから、口にしちゃダメだって思ったのに。
胸の奥から 熱いものが込み上げてくる。
「オレ、、ジュンスと・・・同じがよかった。」
「バカ・・・何言って、、、」
「オレ・・・」
「みっきぃ、、、、、、っ、、、ぅ、、、」
、、、最後にオレは欲張りになる。
もっと一緒にいたかったと、パパと同じ姿に生まれたかったと。
ごめんね、パパ。
だけど、、嬉しかったよ。
『 愛してる 』 ・・・それって 大好きより、もっと好きってことだろ?
オレはパパの 一番の好きをもらったんだ。
じんわりと心が温かくなる。
やっぱりパパは オレの太陽だね。
嬉しくて、
そして、悲しくて 泣きそうになる。
でも、オレは泣かないよ。
オレが泣いたら、パパ もっと泣いちゃうだろ?
溢れそうになる涙をこらえて、オレはパパに微笑む。
オレの名前を何度も何度も呼ぶパパ。
あぁ・・・そんなに泣かないで。
オレ、笑ってるんだから、パパも笑ってよ。
可愛いパパ。
大好きなパパ。
パパがオレのこと忘れても、オレはパパのこと忘れないよ。
ドクン、、、、心臓が大きな音を打った。
あ、、、何だろう。
体がフワフワしてきた。
これって・・・・もう時間が来た?
パパ、、、
パパ、、、、、
ありがとう。
・・・オレ、こんなにも幸せだ。
今度 生まれ変わったら、オレ 絶対にパパと同じ 大きな人に生まれるから。
それで、
また オレがパパを見つけるから。
「パパ・・・オレも あいしてるよ・・だいすきだよ・・・」
その声が オレの最後に発した言葉だった。
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「パパ・・だいすき。ね、笑って?」

you only love この曲を聴きながら、『 オレのパパ 』 23、24話を書きました。
たったひとつの僕の愛。
ウサギのミッキーにとっては、パパへの愛が you only love なのです ♡