ユチョンという男。
会話によって コロコロと表情を変える。
楽しそうに笑い、、、まるで昔からの友人のように、親しげにオレに話しかけてくる。
『ジュンスは?』 何度もオレの名前を呼ぶ。
それが妙に心地よかった。
「ジュンス、 この街にいるなら また会わないか?」
「、、、、、」
「あ、迷惑なら・・・」
「イヤ、そうじゃない。いつまでいるか わからない」
「そっか、、、じゃ、また 会えたら 一緒に飲もう」
「あぁ」
ユチョンは それ以上 何も言ってこなかった。
明日も仕事だという ユチョンは 先に店を出た。
オレは一人で 赤ワインを傾ける。
光に透かして、その液体を見る。
あの男の体には どれくらいの血が巡っているのだろうと、
女の血の方が旨いが、あの男の血の味は どうだろうと・・・
一人の人間に執着するのは よくない。
オレは ドラキュラ。
人に忌み嫌われる存在だ。
正体を知られるわけにはいかない。
それなのに・・・ここに来るかと 誘ったのはオレだ。
ミッキーに似てる男がどんな奴なのか気になった。
この地を去るか、あの男の命を奪うか・・・・
さっさと この手にかけてしまえばいいだけのこと。
ただそれだけのこと・・・・
「もう少し召し上がりますか?」
バーテンダーが声をかけてくる。
「いや、もういい」
「先ほどの お客様、ずっと待っておいででしたよ」
「、、、そう・・・・」
店を出て、当てもなく歩く。
今夜は まだ血を吸ってない。
オレは 獲物を探して歩く。
街灯の光が、足元の水たまりにオレを映す。

オレは誰?
オレは・・・・
オレは、ジュンス。
オレは・・・・・ドラキュラ。
あの男といると、心が乱される。
しまい込んだ宝物の蓋に、手をかけてしまいそうになる。
もう、あの男には会わない方がいい。
オレは 柔らかい女の肌を求めて、店に入った。
「ココ いい?一人?」

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