済州島には昔からいくつかのニックネームがあります。

その代表的なものとして「三多島」「三無島」というのがあるので、今日はそれについて書いてみたいと思います。

(ご存じの方もけっこういると思いますが)

 

順番が逆になりますが、まずは「三無島」から。

 

「三無島(サンムド/삼무도)」というのは、文字通り「三つのものが無い島」ということです。

済州島には昔から存在しないと言われている三つのものがあります。

それはすなわち「泥棒(도둑)」「乞食・ホームレス(거지)」「大門(대문)」です。

 

済州島は外の世界から隔たった「島」という特性上、外界との交流がほとんどありませんでした。

そのため、済州島内部に住む人々の間のつながりが非常に密接となったと言われています。

まあ要するに「生活範囲内にいる全員が知り合い」に近い状況だったようです。

そのため悪いことをしてもすぐバレるので誰も「泥棒」をせず、相互扶助の力が働くため「乞食」になる人もおらず、犯罪が起こらないため「大門」も必要なかったということでしょう。

まあ、どこまで本当なのかはわかりませんが。

 

ちなみに、「大門」の代わりに済州島では「チョンナン(정낭)」という特殊な門(柵?)が発達しました。

今でも農場や観光地などで使われているのを見ることがあります。

チョンナンについては、またそのうち紹介したいと思います。

 

↓チョンナン(NAVER지식백과より)

 

この「三無島」ですが、現代済州島には当然「泥棒」は存在します。

乞食・ホームレスについては不明ですが、今のところ見たことはありません。

 

 

続いて「三多島(サンダド/삼다도)」

こちらも文字通り「三つのものが多い島」ということです。

済州島に昔から多いと言われている三つのもの、それは「風(바람)」「女性(여자)」「石(돌)」

 

「風」は四方を海に囲まれた島という地理的条件のため、強い風がしょっちゅう吹いていることから。

済州島に石垣が多かったり、伝統的な住居が非常に背が低く設計されていたりするのは、風による被害を防ぐためと言われています。

 

「女性」が多いというのは、昔から男性の多くが海で仕事をしており、海難事故のため亡くなることが多かったので、相対的に女性の比率が高くなったことから。

もっとも現在は男女の人口比率は男性のほうがやや多いようです。

「海女」に代表される女性の存在感は健在ですが。

 

「石」は、済州島が火山島であるため、玄武岩がそこら中にゴロゴロしているから。

実際に土をちょっと掘ればでっかい石が出てきますし、海岸も玄武岩だらけです。

少し田舎に入れば、石垣もたくさん見られますしね。

 

この「三多島」はいわゆる伝統的な概念ですが、これとは別に「新三多島」ということもたまに言われます。

済州島で最近多くなった三つのことということで、半分冗談みたいな感じで言われているようです。

「新三多島」にはいくつかパターンがあるようで、僕もそのうちの何個かを聞いたことがあります。

 

以下、ネット上で確認できたものを少し紹介したいと思います。

 

①老人・博物館・タクシー

老人は「高齢化」を反映したもの、「博物館」「タクシー」は済州島観光産業関連ですね。

当時済州に来る観光客が急増し、博物館の乱立やタクシーの氾濫が問題(?)となったようです。

確かに済州島には今でも「アフリカ博物館」「テディベア・ミュージアム」「恐竜博物館」といった、済州島とは(ほぼ)関係のない博物館がたくさんあります。

 

②お金・車・中国人

このうち「お金」はなんのことかよくわかりません。

行政的な資金が増えたのか、観光客増加で経済が潤ったことを言っているのか。

「車」はまあそのままでしょうね。

レンタカーの氾濫も問題になっていますし。

三つ目の「中国人」は中国人観光客の急増のことを言っていると思われます。

中国国籍の人は韓国に来るときビザを取得する必要がありますが、済州島だけはビザなしでも来れるような特別措置が取られています(正確にいつこの政策が始まったのかは知りませんが)。

そのおかげで、中国からの観光客が急増して中国資本の誘致や観光産業の活性化に大きく貢献しました。

一方で、マナーの悪い一部の中国人観光客の行動(ゴミのポイ捨て、トイレの使い方が汚いなど)も問題になっています。

 

③レンタカー・カフェ・ヘジャングク食堂

「レンタカー」はさっき言った通りです。

「カフェ」は確かに観光地や海岸沿いを中心に乱立していますね。

おしゃれなカフェで写真を撮ってSNSに投稿するという、若い人たちの観光パターン(?)も背景にあるのでしょう。

「ヘジャングク(해장국)」というのは、日本語でよく「酔い覚ましのスープ」と翻訳されている、飲みすぎた次の日の朝に飲むスープのことです。

これは初日にお酒を飲んで、翌朝「ヘジャングク」を飲む旅行客が多いからかもしれません。

 

ということで、「三多島」の内容も時代によって変化しているようです。

10年後、20年後に「三多島」「三無島」の内容はどう変わっているのでしょうか。

 

今日は済州島のニックネーム「三多島」「三無島」についてご紹介しました。

 

※次は月曜日に更新します

 

↓「いいね!」と思ったらポチッとお願いします!

にほんブログ村 海外生活ブログ 韓国情報へ

にほんブログ村


韓国(海外生活・情報)ランキング

 

↓参考にしたサイト