今日はマイブームのお話。
 
最近、僕がはまっているのがこの「栗羊羹(パムヤンゲン/밤양갱)」です。

 
韓国では大抵のスーパーやコンビニで、このような棒状の羊羹を売っています。
 
↓中はこんな感じ。羊羹の中に栗の粒が少し入っている
 
翻訳の作業をやりながら頭がぼーっとしてきた時、ちょっとつまむのにもってこいです。
最近は冷蔵庫に欠かさず入れています。
1本が日本円で50円程度とお手頃なのもうれしいところ。
 
僕の印象では、最近までは栗羊羹はあまり見かけたことがなく、「錬羊羹(ヨンヤンゲン/연양갱)」(スタンダードな味)がメインで売られてるイメージでした。
それが今では逆転してしまい、栗羊羹の方が目に付くようになりました。
 
↓スーパーの店頭で売られている栗羊羹

 
その理由はどうも、このパッケージの女のようです(言い方)。
BIBI(ビビ)という歌手なんですが、最近この人の『パムヤンゲン(밤양갱)』という歌が大ヒット。
パムヤンゲンというのは、さっきも言いましたが栗羊羹のことです。
 

↓『パムヤンゲン』のMV

 

ほのぼのした感じの曲調と歌声が特徴的なこの曲。

歌の雰囲気とBIBIのギャル感(?)のギャップにやや違和感を覚えますが、まあそれも一つの味なのでしょう。

この歌は何といっても、歌詞が印象的です。

 

あんまり歌詞を載せると怒られるので、リフレインの部分をちょっとだけ…

 

'너는 바라는 게 너무나 많아' 「お前は要求が多すぎるんだよ」
아냐 내가 늘 바란 건 하나야  そんなことないわ 私の望みはただ一つ
한 개뿐이야 달디단 밤양갱  それはとにかく甘い栗羊羹
 
というような歌詞です。
歌詞全体を見ると、どうも女性が男性にフラれる内容のようです。
いろいろ理由をつけて別れを切り出した男性に対し、女性は何も言わずに別れを受け入れます。
その後で自分が欲しかったのは「栗羊羹」だけだったのだと言ったところで、歌は終わります。
けっこう不思議な歌詞ですよね。
 
この「とにかく甘い栗羊羹」についてはいろんな解釈があり得るでしょう。
「優しい言葉」とか「暖かい時間」とか「親密さ」などなど…。
キョンアさんの末の姪コ・ギミンはどこで聞いたのか「この『栗羊羹』は愛のことをたとえている」と言ってましたが(あなたもそんなことを言う歳になったのね)。
 
この歌の大ヒットを受けて、上の写真のようにお菓子の「栗羊羹」とBIBIがコラボするなど、栗羊羹が大々的に売られるようになったようです。
 
その結果、隅に追いやられてやや悲しそうな「錬羊羹」。
前にもちょろっと書きましたが、ヘテ製菓という会社が製造・販売している韓国羊羹の定番です。
「元祖」の文字がやや寂しそうに見えますね(?)。
 

 

栗羊羹のほうは「CROWN」という会社が作っていますが、こちらはヘテの羊羹より後に発売されたもの。

形状やパッケージなどを見ると、ヘテの羊羹のコピー商品に近い感じです。

ヘテとしてはやり切れないかもしれませんね。

 
ちなみに、現在の和菓子としての甘い羊羹の原型は江戸時代にさかのぼるようです。
韓国の羊羹については、日本のWikipediaではごく簡単に
「韓国では日本統治時代に入ってきたものがそのまま残っており「양갱(yang-gaeng、ヤンゲン)」と呼ばれる。製法や市場は日本とほぼ同じである。」
と書いてありました。
 
韓国のWikipediaも見てみると
한국에서는 구한말과 일제강점기에 걸쳐 일본에서 연양갱이 들어온 것이 그대로 정착하였다. 1945년 광복후 일본인이 운영하다 버려진 양갱 공장을 인수하여 창업한 해태제과에서 연양갱을 자체 제조하기 시작하면서 현재에 이르고 있다. 

(韓国では大韓帝国末期から日本統治時代にかけて日本から練り羊羹が入り、そのまま定着した。1945年の終戦後、日本人が残していった羊羹工場を引き取って創業したヘテ製菓が練り羊羹の製造を始めて現在に至る。)

 

という感じで、やや詳しく載っていました。

 
記事によると、韓国人的には「羊羹(ヤンゲン)」と聞いてもそれほど日本っぽい感じはせず、それよりも「おばあちゃん」的な昔っぽいイメージが強いようです。
まあもちろん、みんながみんなそう感じているのかはわかりませんが。
 
とにもかくにも、日本から来た羊羹がいろんな時代を乗り越えて、しれっと韓国社会に定着している姿には何かしら感慨を覚えないではない(そんな大げさな)。
そんなわけで、今日も栗羊羹を食べる私です。