猛暑が続くなか、最近は早朝に散歩をしています。
その散歩道に気になる看板が…。
 
↓ベンチと向かい合わせに建てられた看板

 
海の眺めを遮るように立てられたこのやや謎の看板。
正面から見ると下のような感じ。
わりと文字がびっしりで、散歩中に読むのは面倒だなと思っていたのですが、先日思い切って(?)読んでみました。
 

 

読んでみたところ、この看板は「南韓朝鮮労働党事件」という事件を解説するもののようです。

一番上に事件の概要が書いてあります。

その部分を翻訳してみると…

 

南韓朝鮮労働党事件は南済州郡大静邑出身の大物スパイであるイ・ソンシル(北朝鮮権力序列22位)が国内に侵入し、「95年朝鮮半島赤化統一達成」を目標に一般人の勧誘や地下組織結成などのスパイ活動を行った、南朝鮮労働党摘発以降で最大規模のスパイ組織事件です。

 

要するに、済州島にあった「南韓朝鮮労働党」という北朝鮮系の組織が摘発されたという事件のようです。

写真のおばさんが「イ・ソンシル(이선실)」というスパイですが、この人が結局逮捕されたのか、この文面ではよくわかりませんね。

調べてみると彼女自身は直接スパイ活動をしたのではなく、ずっと北朝鮮にいた模様。

2000年に死亡が確認されたとのこと。

看板では「イ・ソンシル」となっていますが、普通「リ・ソンシル」の名前で知られているようです。

 

じゃあこの事件は何なんだという話ですが、具体的なことは下に書いてあります。

真ん中の項目のタイトルは「南朝鮮労働党スパイ侵入現場」

 

長いので要約すると…

①1990年5月30日に北朝鮮労働党所属スパイ2名が西帰浦の海岸から侵入

②近くの松の木の下に工作活動物資を埋める

③南韓朝鮮労働党のスパイが北朝鮮の工作員から「工作活動物資を発掘しろ」と指示を受け、90年9月・91年6月と二度にわたって発掘を試みたが、正確な位置を探りあてられず失敗。

④その後、逮捕されたスパイの陳述をもとに国家安全企画部が調査を行い、西帰浦市土坪洞の海岸で工作用物資を発見。

 

つまり、北朝鮮が済州島にある組織にこっそり物資を送ろうとしたけど失敗した、という事件のようです。

ちょっとまぬけな話ではありますね。

34年前にこの場所でこういうことがあったんだと思うと、不思議な感じがします。

 

一番下の項に、北朝鮮から送られてきた「物資」が列挙されています。

その内容を見ると…

手榴弾(4発)、拳銃(2丁)、サプレッサー(2個)、弾丸(120発)、弾倉(4個)、無線機(4台)、乱数表(6枚)

だそうです。

思ったより大したことないなぁと思うのは僕だけでしょうか?

この程度で「95年朝鮮半島赤化統一」を本気で目指していたのかなぁ。

 

気になるのは、この看板を設置したのが誰か書いていないこと。

恐らく保守の中でも一番保守的な人たちだとは思いますが、組織の名前ぐらい書いておいてほしいものです。

一部右翼系団体は済州4・3事件を共産主義者たちの責任(?)だと主張しているようなので、この看板もそういう政治的な意味から立てられたのかもしれませんね。

 

まあ、いろんな意味でなかなか興味深い事件ではあります。