その夜の月 ~13~ | infection  ~YooSu~

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空には彼を思い起こさせる眉月。

月明かりは柔らかく僕を照らす。

あの日、彼と初めて結ばれた。

気持ちを伝えるのには、幾月も掛かったのに、気持ちを伝え合ったら、歯止めがきかなくなった。

僕らは夢中で愛し合い、欠けた部分を補いあった。

あれからどれくらい経ったんだろう。

僕らを取り巻く環境は、激変と呼べるほど変わった。

そして、僕らも。

喧嘩もした。

意見の衝突も経験した。

それでもいつも一緒に居ようと努めてきた。

それさえ変わった。

数ヶ月、数年、一緒に居られないこともあった。

僕らはもう終わったと誰もが思っている。

でも、そうじゃない。

僕らはあの日見上げた月だ。

何も変わらない。

遠くにあるから、変わったように見えるだけ。

その夜の月は、今見上げるこの月と同じ。

僕らは今も、その夜の月に見守られながら、愛を育んでいる。

月を見上げる。

気が遠くなるほど長い時の中を、変わらずにあり続ける月を。

 

 

「そんなに見つめて嫉妬しちゃうぞ」

 

 

背中からふわっと、抱きすくめられた。

クスッと笑うと、彼に向き合う。

 

 

「君しか見えてないよ」

 

 

変わらない僕らを、変わらないその夜の月が穏やかに包みこんだ。

 

 

 

 

 

 

Fin.