その夜の月 ~10~ | infection  ~YooSu~

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彼が俺を好き?

本当に?

心の中の問い掛けに答えるように、彼はゆっくりとうなづいた。

緊張に凝り固まっていた体の力が抜け、大きな吐息を吐いた。

 

 

「俺、駄目だと思ってた」

 

 

「何で?」

 

 

「だって、俺達って色気皆無じゃん」

 

 

「そんなことないよ。色気あるって言われてるじゃん」

 

 

「俺はね」

 

 

「あっ、なに、それ。僕だって色気あります」

 

 

ぷうっと頬を膨らませた彼。

そう言うところが色気がないと言われてるのにな。

俺は彼の髪を優しく撫で上げ、色気があると言われている声を耳に直接流し込んだ。

 

 

「うん、色気あるよ」

 

 

ぶるっと全身を震わせて、耳を手で覆った彼を柔らかく抱き締める。

同じ性なのに、何でこんなに柔らかく甘いんだろう。

 

 

「好きだよ」

 

 

耳を覆った手を外させると、もう一度思いの丈を込めて囁いた。