夢中でピアノを弾いていた。
思いの丈をすべて打ち付けるように。
彼を好きになって、迷い込んだ迷路。
抜け道のない感情に翻弄され、高い壁に囲まれているようだった。
でも、ある日気付いた。
彼と共に生きる道があると。
それは儚い月の光の道。
それでも、その道を彼と歩きたい。
それしか望むものはない。
「いつ伝えよう・・・」
告白。
それは簡単なものではない。
今のいい関係が崩れるかも知れない。
怖い。
何よりも怖い。
彼を失うならば、このままと長い間思ってきた。
でも、前に進もう。
この愛を永遠のものにするために。
再び鍵盤に指を乗せると、彼への想いを弾きだした。