思わせぶりな君に、会えなくなって久しい。
君を思わせる月は、まんまるになって僕を見つめているというのに。
「ねえ・・・会いたいよ」
スマホの画面に表示されたままの君の番号。
何度もタッチしようとして、最後の勇気が出ない。
「子供じゃないんだから・・・」
大人な対応で掛ければいいのにと思いつつ、ふうっと溜息を吐いて、画面を閉じた。
待ち受けには月。
『へえ、何かのおまじない?』
見た人にそう聞かれ、曖昧に頷いた画像はまんまるなお月様。
満月の待ち受けは運気を上げてくれるらしい。
でも、僕は月に君を見ている。
穏やかに光を放つ月は君そのものだ。
だから、君を想い待ち受けにしている。
いつか奇跡が起きるまで。
「わあっ!」
突然スマホが鳴動して、驚いた。
見ると月を思わせる彼の名前が表示されている。
有り得ないほどに心臓が飛び跳ねる。
大人だ、大人な対応だ。
そう言い聞かせながら、指をスライドさせる。
「もしもし、ジュンス?」
懐かしい君の声に、天上の月が霞んだ。
奇跡はきっと僕らの軌跡の先にあるんだね。
中秋の名月に、こんな奇跡を願うじゅんじゅんです(・∀・)
