「真夏!」
叫んでからしまったと思い、両手で口を覆ったが遅かった。
真夏はしずくの姿を認めると目を見開いて立ち尽くした。
「なんだ、しーちゃんのお友達だったの?行きのバスで意気投合してさ、誘っちゃった」
ハルハルはそう言うと、すっと立ち上がって真夏の手を引き、しずくの隣に座らせた。
「皆、こちら真夏ちゃん。しーちゃんのお友達」
「よろしくー」
「よろしくね~」
皆が歓迎の意を表し真夏を取り囲んだ。
「しーちゃんの友達ってことは春ファンなんだ。いいなぁ、しーちゃん、近くに春のこと話せる友達がいて。私なんか「&TS」のファンさえ近くにいないよ」
穴があったら入りたいとは、まさにこのことだ。
真夏はハヤトファンだ。
しずくが春に入れあげてることさえ知らない。
学生の時の苦い思い出が甦る。
BL好きを気持ち悪いと言われた思い出。
真夏もきっとそう思っているだろう。
真夏は唯一「&TS」の話が出来る友達だったのに、軽蔑されてしまうかも知れない。
悲しくて涙が滲んできた。
「そうなんです。私もガチガチの春ファンなんで、しずくが友達で居てくれて本当に嬉しい。私達のような趣味の者にはこういう友達って貴重ですよね」
真夏の言葉に驚いて顔を上げた。
「こんな私だけど、これからもよろしくね、しずく」
そう言って笑う真夏に、思わず堪えていた涙が溢れた。
続く
ううっ(´;ω;`)
良かったねー。・゚・(Д`)←号泣