君の足跡 | infection  ~YooSu~

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YooSuが大好き!なじゅんじゅんのブログです。腐の気があるので気をつけて。

誰か。

ではなく、何故君なんだろう。

何故、君でなくてはならないんだろう。

 

 

「ちょっと、聞いてる?」

 

 

レッスン中だと言うのに、ぼうっと君に見惚れてしまっていた。

 

 

「あっ、ごめん」

 

 

「いいけど・・・疲れた?大丈夫?」

 

 

心配そうに俺を覗き込む君。

君のダンスが好きで、君に少しでも近づきたくて頼んだダンスレッスン。

身近で見る君のダンスは、息を飲むほどに美しい。

だから、見惚れるのは仕方ない。

胸の奥に芽生えたチリチリとした想いをそうやって誤魔化す。

本当はとっくに気付いているくせに。

これは憧れと片付けられる感情ではない。

そんな気持ちを悟られないように、苦笑いすると、君の表情が曇った。

 

 

「ずっと練習だけだもんな。今日はここまでにしようか」

 

 

「いや、もう少し」

 

 

「無理は禁物。これから長いんだからさ。なっ、相棒」

 

 

ポンっと肩を叩かれ、君が微笑む。

笑顔には力があると思う。

特に君の笑顔は破壊的だ。

抑え込んでいた感情が爆発して、柄にもなく俺の顔は真っ赤に染まった。

 

 

「あれ?熱でもあるんじゃないか」

 

 

俺より小さな体で背伸びした君が、俺の後頭部に手を掛けぐっと引き寄せると、自分のおでこをこつんと当てた。

突然の君の大接近に、俺の体はかちこちに固まる。

こんなことくらいでらしくないが、緊張にごくんと唾を飲んだ。

 

 

「大丈夫みたいだけど、今日はゆっくりした方がいいな。スカイは頑張り屋だから、ついオーバーワークさせてしまう。ごめんな」

 

 

両手を合わせてごめんの形を作る君。

 

 

「いや、蓮くんは悪くない」

 

 

そう、悪いのは俺。

君にこんな感情を抱いてしまう俺。

 

 

「ふふっ、スカイ、今、自分が悪いって思っただろう」

 

 

「えっ?」

 

 

「スカイはいつも人のことを責めないんだよな。そういうところ、好きなんだけどさ。僕には甘えてよ。僕、一応兄さんなんだからさ」

 

 

「ありがとう。俺も蓮くんのそういう優しい所好き」

 

 

蓮くんはにっこり笑って、俺の頭をよしよしと撫でた。

ねえ、知ってる。

俺は蓮くんのそういうところだけじゃなく、すべてが好きだってこと。

だから、これからもずっと君の足跡の隣に俺の足跡をつけさせて。

いつか振り返った時、その足跡が重なって、その先の二人の歩む道が輝きますように。

そう願って、俺も蓮くんに負けない笑顔で微笑んだ。