力なく崩れ落ちた俺の背中に、咲也が手を回し抱き締める。
抱いたはずなのに、抱かれたような不思議な感覚。
咲也とひとつになれた。
今もまだ俺自身は、咲也の中に収められている。
体を繋げることが一番大切とは思わないが、無理かも知れないと思っていたことが出来た喜びに心が震えた。
息が整うと体を起こし、名残惜しげに俺自身を引き抜いた。
「あ・・・」
咲也の蕾から生温かい液体が零れ、咲也はぶるっと体を震わせた。
「咲、好きだよ」
「いずみ、好き」
柔らかく微笑む咲也の唇に、ありったけの想いを込めて口付ける。
激しい衝動の後に迎える、穏やかで満ち足りた時間に、いつまでも唇を重ね続けた。
恋することは特別な意味を持つ。
でも、特別な人は近くに居る。
いつでも俺を支えてくれる。
そんな人に巡り合えた。
奇跡という言葉は、使い古されているかも知れない。
でも、使い古されるくらい起こり得ることなんだ。
咲也と巡り合ったのも、恋をしたのも、気持ちが通じ合ったのも、そしてこうやってお互いを必要としたのも、すべて奇跡だ。
咲也以外とは起こり得ない、世界でただひとつの奇跡。
そして、
「咲」
「いずみ」
君の名前を呼べることが一番の奇跡。
続く・・・