「じっとしてろよ」
冷たい感触が目蓋を覆い、視界が消えた。
「綺麗だ」
耳元で囁かれる言葉に、背筋をざわざわとした感覚が這い登る。
思わず、ああっと吐息を吐いた。
「感じた?」
彼はふふっと笑って、耳朶を軽く噛む。
ぞくりとして体を震わせた俺に、追い打ちを掛けるように熱い舌が這い回る。
「あっ、やっ、やめ・・・てぇ・・・」
到底拒絶とは言えない媚びを含んだ言葉が、俺の口元からまろびでる。
その意味を察した彼が、大胆に俺の体をベッドになぎ倒した。
軋むベッドの音が止まないうちに、抗えない感覚が襲ってくる。
目を閉じる必要もなく、その感覚に溺れた。
「綺麗だ。綺麗だよ」
呪文のように繰り返される言葉に、熱は上がり続け、頂点へと導かれる。
世間という、うるさい現実を、布一枚で遮断して、急階段を駆け上がる。
階段を登り終えた先にある、めくるめく世界に辿り着くために。
そこには二人で築き上げた愛だけが存在するから。
