スマホの画面に表示された名前に思わず頬を緩めると、わざとぶっきらぼうに電話に出た。
「何の用?」
「愛してる」
久しぶりの君の声は、いつもと変わらない愛の言葉を囁いた。
「知ってるよ、ばか」
ふふっとくぐもった笑い声がして、ユチョンはまた同じ言葉を囁いた。
「愛してるジュンス」
今まで何度も聞いた言葉なのに、いつも胸がきゅうっと鳴る。
舞台や歌で同じ言葉を聞いても平気なのに、ユチョンに言われると切なくて苦しくて、でも幸せになる。
「まったくしつこいな。分かったよ、僕もだよ」
渋々といった体で言葉を返すと、電話の向こうでユチョンがふんっと鼻を鳴らした。
「だーめ。ちゃんと言って」
「言ったじゃないか」
「愛してる」
「だから僕も」
「愛してるよジュンス」
「つっ・・・」
「愛してる」
「あっ・・・あの・・・」
「愛してる」
「ぼっ、僕も・・・あいしてる」
「愛してるジュンス」
「も、もう、やめて」
「何で?」
「はっ、恥ずかしいからに決まってるだろ」
「うん、やっぱり俺のジュンスは可愛いままだな」
「もっ、もう・・・」
「ジュンス真っ赤だよ」
「見えないくせに」
「残念。これが見えてるんだな。俺には分かるんだ。ジュンスが何をして、何を思っているか」
「何を思ってるって言うんだよ」
「決まってる。俺の事だろ」
ユチョンが当然のように言った。
「うん。そうだよ。いつも思ってるよ」
思いがけない素直な返事に、ユチョンが電話の向こうで言葉に詰まるのが分かった。
「参った。参りましたジュンス様。まあ、俺は絶対ジュンスには敵わないんだけどね」
「その通り。僕は実は最強なんだ」
ぷっと2人で吹き出して、あははと笑った。
タイムリミットだ。
今日の電話はここまで。
「じゃあ、ジュンス。またね」
「うん。体に気を付けてね」
「ジュンス」
「んっ?」
「愛してる」
「僕も愛してるユチョン」
ちゅっと唇を鳴らす音がして、回線は切れた。
ユチョンとは今、簡単に会えない。
でも、あの日から僕はどんな時でも、ユチョンを側に感じるようになった。
会えないのは寂しい。
けど、独りでも孤独じゃない。
独りでもたくさんやりたいことがある。
それを思い付くままにやっている。
不思議だけど、そうしていると本当にユチョンを身近に感じるんだ。
ユチョンはいつも側に居る。
それは僕だけが感じることの出来るものだ。
「時間です」
ドアがノックされた。
僕はスマホに向かって唇を突き出し、ちゅっと小さく音を鳴らすと勢いよく立ち上がった。
「ユチョン見ててね」
僕は立つ。
ステージに。
皆の孤独を癒すために。
Fin.
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
終わったどーヽ(゜▽、゜)ノ
皆様!
「solitude」完結でございますm(_ _ )m
あれだけのエロを書いてきた割に、最後はあっけないと思われたかも知れませんが、本当はエロが予定以上に長くなっただけでございますのよ(T_T)←
さて、タイトルの「solitude」ですが、孤独という意味です。
でも、もうひとつの孤独を表す言葉「loneliness」とはちょっと意味が違うようなのです。
lonelinessは何者ともつながりがなく、寂しい状態、いわゆる日本語の孤独そのものの意味ですが、solitudeは積極的な孤独とでも言いましょうか、lonelinessから寂しさを抜いた状態と言えば分かりやすいかも知れません。
ジュンスは初め、世間的に許されない恋に孤独に陥ってしまいます。
でもユチョンに愛されて、独りの本当の意味を知ったのです。
独りは決して寂しいだけのものではない。
何かをする時、人は独りです。
それでも楽しく感じることが出来れば、きっと心が共鳴している誰かがいるって証なのではないでしょうか。
solitudeはsoloの語源でもあります。
人はlonelinessを経験し、そしてsolitudeを知り、独りで立つことが出来るのかも知れません。
彼らの活動が見られない時がしばらく続くことになりますが、私達はlonelinessを感じながらも、率先してsolitudeを感じられると思います。
だって、彼らはたくさんの歌を残してくれています。
ほら、口ずさんでみて。
歌えば君はsolitude(^∇^)
最後までお付き合い下さりありがとうございました。
皆、
またね(*^ー^)ノ