「じゅんすぅ~、側を離れないでくれよー」
ドアを開けると、ベッドに横になったユチョンが情けない声を出した。
「あっ、ごめん、ユチョン。寂しかった?」
ジュンスは嬉々としてベッドに駆け寄り、横になったユチョンの顔を覗き込んだ。
ユチョンはでれでれと相好を崩し、ジュンスの手を撫でさするように握る。
「寂しいよ、ジュンス。俺が寂しがり屋なの知ってるだろう。俺、ジュンスが居ないと生きていけない」
「ぼっ・・・僕も・・・」
ぽっと頬を染めたジュンスが、ユチョンの手をそっと握り返す。
ユチョンは目も鼻も口も流れ出すんじゃないだろうかと思うほど、更にでれでれと顔を崩してジュンスの肩に手を伸ばした。
「ジュンス・・・おいで」
「あっ、だめ」
「いっ!」
ジュンスをベッドに引き摺りこもうとして、半身を起こしかけたユチョンが顔を歪めて固まった。
「大丈夫、ユチョン!大変!ねえ、どこが痛いの?ここ?それともここ?」
ジュンスの小さな手が、ユチョン広い背中を彷徨う。
するとみるみるユチョンの苦悶に歪んでいた顔が変わった。
「ジュ、ジュンス・・・あの・・・」
「んっ、何?ここじゃないの?どこが痛いの?」
「えっ、えっと、その・・・あそこ・・・かな」
「あそこ?」
きょとんとユチョンを見つめたジュンスに、ユチョンがへへっと下卑た笑いを浮かべると、馬鹿馬鹿しいその遣り取りを黙って見ていた僕は、ジュンスの肩を掴んでユチョンから引き剥がした。
「はいはい、湿布ですよ。じっとして下さい」
ユノにしたのと同じように、有無を言わさず上半身裸のユチョンの腰にバシッと音を立てて湿布を叩き付けた。
「いーーーーーっ!てーーーーーーっ!」
海老反りのように反り返って悶絶するユチョンと僕の間に、慌ててジュンスが割り込んだ。
「ひどい!ユノにしたようにはしないって言ったじゃないか!」
「そうですよ。だから見て下さい。一辺に二枚貼ってあげました」
「もう!そういうことじゃない!僕のユチョンを苛めるのは許さないから!」
「僕のユチョン?ジュンス、僕のって言った?ねえ、もう一回言って。あっ、いたたたたた」
ユチョンが性懲りもなくでれでれと顔を崩し、ジュンスを見ると、ジュンスは真剣な顔でユチョンの手を握った。
「僕のユチョン」
「もっ、もう一回」
「僕のユチョン。ねえ、お願い、あっ、あの・・・えっと・・・」
何を言おうとしているのか、突然しどろもどろになるジュンスに、ユチョンが表情を引き締めて問い掛ける。
「何?言って、ジュンス。俺に何をして欲しいの」
「あっ、あのね・・・」
「うん」
「僕をユチョンの僕にして」
「ジュッ、ジュンスーーーーー!」
「あっ、駄目」
ユチョンがジュンスに飛びかかろうとして、あえなくベッドに突っ伏した。
「いっ!でっーーーーーーーーーー!」
「ユチョン、大丈夫!」
「はい、ジュンス。今日はこの部屋に出入り禁止です。じゃあ、ユチョン、後でまた見に来てあげますから大人しく寝てなさい」
ジュンスの肩をがっちり掴むと、引き摺るようにドアに向かう。
「あっ、ジュンス。ジュンスーーーーー!」
「ユチョン!離して、チャンミン!ユチョーーーーーン!」
2人の声を無視して、ジュンスをずるずると部屋の外に連れ出すとバタンとドアを閉めた。
「ひどい・・・ユチョンは僕が居ないと生きていけないんだよ・・・ユチョン・・・僕・・・僕だって・・・くすん・・・ユッ、ユチョンが居ないと・・・僕、戻る!何と言われたって、戻るからね!僕は、僕は、ユチョンの側に居たいんだ。いや、絶対離れないんだ!」
興奮してはあはあと息を荒げるジュンス。
僕は思わずぷっと吹き出した。
「どうぞ、お好きなように」
「へっ?」
ぽかんと僕を見上げるジュンスの頭をポンポンと叩いて言った。
「恋は素直になったもの勝ちです」
僕は残りの湿布を黙ってジュンスの手に押し付けると部屋を後にした。
仕方ない。
今日は兄達を邪魔しないように、僕は一日部屋に籠って得意の勉強をしていよう。
僕の足は素直に僕の言うことを聞いて、部屋へ向かう廊下を軽快に進んだ。
Fin.
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やっと・・・
終わったー。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。←
皆様。
「もっと素直になれたなら」完結でございますm(_ _ )m
何となく書きはじめた話が、ここまで長くなるとは思ってもいませんでしたので、何だか最後が物足りないと思われた方もいらっしゃるかと思いますが、この話で書きたかったことは最後のチャンミンの言葉に集約させて頂きました。
好きと言う気持ちに色々と理由をつけたがり、ここがいいから、あそこがいいからと理由付けしていますが、要はジュンスのようにその時にどう思うか、どうしたいかが重要なのかも知れません。
好きな相手に心を伝えるのは時にとても勇気のいることですが、飾る必要はないのかも知れません。
ただ「好き」それでいいのではないでしょうか。
じゅんじゅんもよく聞かれます。
「何でトンを好きなの?」
それにはいつも素直にこう答えるようにしています。
「好きだから」
これまでも、これからもずっと。
ねっ(^∇^)
最後までお付き合い頂きましたありがとうございました。
また次回作でお会いしましょう♪(*^ ・^)ノ⌒☆