「ふふっ」
皆の反応を予想しただけで楽しくなって、思わず声を出して笑った。
嵐のようなひと時が去り、ヘッドボードを背もたれに座るユチョンの腕の中に、すっぽりと収まる様に抱かれ、自分のスマホの画面に打ち込んだ文字をユチョンにほらと言うように見せた。
「見て、ユチョン。皆、冗談だと思うんだろうね」
ユチョンはスマホの画面を見るとくくっと笑って、僕の耳元に唇を寄せて囁いた。
「悪い子だ、ジュンス。皆を騙そうとするなんて」
「騙すつもりはないよ。僕は本当のことを書いただけだもん。それを冗談だと思うのは向こうだろ?」
「エイプリルフールだもんな」
「うん、でもだから本当の事を書ける時もあるんだね」
嬉しくて肩を竦めた僕のその肩にユチョンが優しく口付ける。
「愛してるよ、ジュンス」
「愛してる、ユチョン」
首を捻ってユチョンに顔を向けると、柔らかく唇を吸われた。
甘いその感触に、また僕の体がとろけ始める。
ユチョンに体を預け溺れようとした時、僕の手のひらに乗ったスマホから、そんな甘さを引き裂くように不粋に着信音が鳴る。
『新婚旅行はどこですか?』
さっきあげた言葉に、早速反応があった。
「ユチョン、新婚旅行はどこですかって。どこにする?」
「どこでもいいけど、誰にも邪魔されない所がいいな。それこそこんなものが通じない所がね」
「あっ」
ユチョンが僕の手のからスマホを取り上げ、さっさと返信を打ち始めた。
「ジュンス、どんなに遠い所でも俺から離れないで」
ユチョンはそう言って、スマホを翳して見せた。
ユチョンが打ち込んだ文字を読むと、またユチョンの手からスマホを取り上げ、続けて文字を打ち込んだ。
『新婚旅行は月に行きます。うさぎにあげる人参を持ってね』
二人で顔を見合わせ微笑むと、スマホの電源を切った。
「月まで待てないよ、ジュンス」
ユチョンの熱い唇が、まるで人参を強請るうさぎのように、忙しなく僕の唇を啄ばんだ。
空に浮かぶ月を隠していた雲が、風に払われる。
まるで僕の心にたゆたう切ない恋心を吹き払う様に。
Fin.
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どうだ!
朝になる前に終わったぞヽ(゜▽、゜)ノ←
あのエイプリルフールの「結婚します」は実は本当のことだったんですね(≧▽≦)←ユスペンの真実
ジュンス、いつまでもユチョンとおシアわせにー\(^_^)/
さて、タイトルの「恋風」
恋心の切なさを、風が身に染みるのに例えています。
恋は実る前も、実ってからもいくばくかの切なさを孕んでいます。
ジュンスのユチョンを想う気持ちをそんな風に例えて見ました。
そして、これはユスペンの切なさでもあります。
ひたすらユスの恋の成就を待ちわびる私達。
どんなに強い風が心を揺さぶっても、ユスを想う気持ちは変わりません。
そう、たとえ月への新婚旅行が40年後でもね(^∇^)