手を伸ばし、そっとその頬に触れた。
温かい。
君の温もりに、心が躍る。
「んっ・・・ユチョ・・・」
目覚めたかと思った君は、むにゃむにゃと俺の名前を口にして、また寝息を立てる。
何故だろう。
涙が滲む。
ここに君が居る奇跡。
奇跡なんて起こらない。
奇跡なんて妄想だ。
哲学者や、宗教家が口を揃えて言う。
じゃあ、聞きたい。
俺がここに在るのは何故?
俺がジュンスと出会って、一緒に居られるのは何故?
この世は苦。
そう言ったのはお釈迦様だったっけ?
十字架に掛かったキリストも、苦しみは神が与えたもうた試練だと諭す。
そうだね。
それも正しいかも知れない。
希望は妄想が作り出すもの。
そして、愛もそうかも知れない。
だって、俺がジュンスを愛していることを証明するものは何もない。
心は形を成さないから。
「ユチョン・・・」
「何?」
「ふふっ、あったかい」
また寝言かと思ったジュンスが、頬に触れている俺の手をきゅっと掴んだ。
その温もりに、堪えていた涙が零れる。
愛が妄想なら、俺は一生そこで生きよう。
そこには永遠を生きる愛があるから。
触れ合うだけで、愛を確信する永遠の時が。
Fin.
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じゅんじゅんの書いているのは妄想です。
愛が妄想と言うなら、それでもいい。
じゅんじゅんが守りたいもの。
それは見えないものを信じる心。
愛してると思える、この心。